仲間ができました。
「すみません、ここで冒険者登録ってできますか?」
「えっ!?......あっ!はい、できますよ!」
「......どうかしました?」
「い、いえ!あれだけの強さをお持ちなのですでに冒険者の方なのかと......!申し訳ありません!」
「はぁ......?」
カウンターのお姉さんに話しかけると、そんな言葉が返ってきた。
め、目立ちすぎたか.......でもそれだけ力があるってことだよな。神様に感謝だ。
「こほん。それでは、『冒険者ギルド』について説明いたしますね!」
お姉さんの説明によるとこうだ。
『冒険者ギルド』は、人々の安全と文明の発展を目的に創設された”非国営組織”。バックにどこかの国がついているわけではなく、『冒険者ギルド』という組織が色んな国に根差していて、人々を様々な面から支えているそうだ。
主な依頼は資源調達・物資護衛・遺跡の調査・モンスターの討伐など。けっこう幅があるんだな。
そして、冒険者にはランクという制度があるらしい。
木➡石➡鉄➡銅➡銀➡金➡白金➡神金
と、ランク付けが為されているようだ。鉄ランクと銅ランクがボリューム層で、この辺りのランクは冒険者という職業で食っていけるくらいにはなるそうだ。
......そういえばさっきの二人組は鉄ランクだったな。あれでも結構な冒険者だったのか。
逆に白金ランク以上は滅多にいないらしい。ふむふむ。
「登録したての方は木ランクからスタートになります。といっても、木ランクから石ランクへは依頼を2,3個達成できればすぐに昇格できます。」
「なるほど......じゃあ逆に失敗した場合にはどうなるんですか?」
「内容によりますが、大抵の場合積み重なるとペナルティが課せられます。ランクダウンだったり、木ランクの場合は登録抹消ということもあります。これは無駄な犠牲をなくすための実質的な足切りライン、みたいなものですね。」
む、そうなのか。
なら受ける依頼は慎重に選ばないとだな......いきなり登録抹消されても困るし。
「カナトさんなら大丈夫だと、思いますよ......!」
「だといいけど......僕戦闘経験とかないしなぁ。」
「鉄ランクを二人も伸ばせる初心者がいてたまりますか。何者なんですか......」
励ましてくれるミレアと、呆れ顔で見てくる受付のお姉さん。
ちょっと嬉しいけどほんとに戦ったことなんてないぞ。
「まあとにかく、まずは登録ですね。こちらのプレートに血を一滴垂らしてください。」
お姉さんが取り出したのは免許証くらいのサイズのプレート。
何でできているんだろう、これ。
「なんですか?これ」
「これはギルドプレートです。このプレートはあなたの魔力波動を記録し、個人を識別してくれます。ギルド内での情報整理や個人の証明などにも使われているんですよ。」
「ほうほう」
ほんとに免許証みたいなもんか。
針をもらって、指先をプスリと刺す。
血を一滴垂らすとプレートが少し白く輝いた。
「......これで完了です。あなたの魔力波動が登録されました。あなたのお名前は?」
「あ、奏翔です。カナト。」
「カナト様ですね。かしこまりました。......はい!これで登録は終了になります。お連れの方も登録されますか?」
「あ!えっと......はい、お願いします!」
「かしこまりました。」
そういってミレアも僕と同じように、プレートへ血を垂らす。
お?今度は青く輝いてるな。個人差があるのか?
「この輝きって何か意味があるんですか?」
「そうですね......詳しいことはよくわかっていませんが、一説には魔法適性や素質などと言われたりしています。」
ははぁ。なるほど、魔法もまだまだ発展途上らしい。
それにしても......これが魔法か。本当に異世界なんだなここは。
「はい!ミレアさんの登録も完了です。お二人とも木ランクの冒険者からスタートになりますが、たくさんの功績をあげて高ランクになることを期待していますよ!」
よく見るとプレートの右上が木製になっている。これが木ランクの証か。
「ありがとうございます。頑張ります。」
「ありがとうございました......!」
それぞれお姉さんにお礼を言い、その場を離れる。
よし。これでとりあえず稼ぐ手段は見つかったな。
「カナトさん......あの......」
「ん?どうしたの?」
少し俯きながらミレアが話しかけてきた。
なんだろう。
「えっと......もしよろしければ、一緒に依頼を受けてほしいな~って......」
「あぁそういうこと。もちろんだよ、一緒に頑張ろう。」
「ほんとですか!やったあ......!」
その場でぴょんぴょんと跳ねるミレア。
銀髪がふわふわと揺れている。かわいい。
「ていうか、さん付けとか敬語にしなくても大丈夫だよ。僕ら歳もたぶん近いでしょ?」
「えっ.....!じゃ、じゃあお言葉に甘えて......」
もじもじするミレア。
......なんだかこっちまで恥ずかしくなってくるな。この空気。
「なら、カナトくん、でもいい?」
「ああ。これからよろしくね。ミレア。」
「うん!よろしくお願いします......!」
「......抜けてないね。」
「......あ」
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