初戦闘
......マジか。こんな輩もいるのか。最初に出会ったのがウィルさんたちみたいな優しい人だったから少し来るものがあるな。
「や、やめてください......」
「大丈夫だぁ......俺たちァ優しいからなァ.......!!」
そのうち一人の手が女の子の肩に触れかかる。
......見てられないな。
神様もみてることだし、ここはいっちょカッコつけるか。いくぞ!僕!
「おい」
「あぁ?なんだテメェ......?」
「その子困ってるだろ。やめろ。」
「は?......なんだガキ!!ぶっ殺すぞ!」
男からパンチが飛んでくる。やばい!流石にこれは......!
反射で体が仰け反る。
!体がすごい軽い....!
「んだコイツ!?当たんねぇ....!?」
右左とくるパンチをフッと軽く避ける。すごい、これ神様効果なのか?
これならいける!
「ほい」
「グフッ!?」
正拳突きを食らわせる。おお、盛大に吹っ飛んだな。
僕こんなに力ないはずなんだけど。
「こんのガキィ!!」
もう一人の男が剣を抜き振り下ろしてくる。
「あぶなっ!?」
とっさに避ける。あぶな!当たったらどうすんだ!
「このッ!ちょこまかとッ!動きやがってッ!」
剣戟を避ける。身のこなしもスムーズにできる。
男は剣をブンブンと振り回す。乱暴だなあ。
スッと後ろに回って、男の後頭部にチョップを食らわせる。
「ほっ」
「ガハッ!?」
バタン。そんな音が聞こえて男は倒れた。
「大丈夫?」
「えっ......あ、あの......ありがとうございます........」
その少女はこちらを向く。
銀髪のショートカットに眼鏡をしていて、手には杖を持っている。
魔法使いなのだろうか?
「怪我がなくて良かった。君も冒険者?」
「あっ......いえ、私は今日登録にきて......」
どうやらこの子も今日初めてここに来たらしい。
初めてでこんなのに遭遇するとは......ツイてないな。
「そうだったんだ。実は僕も同じでさ。」
「えぇっ!?......てっきり冒険者の方かと......」
「え?な、なんで?」
「これだけお強いので......!このお二人も鉄ランクの冒険者で、結構有名なんですよ......?」
そうだったのか。どうりで......注目を集めてしまってるわけか。
「おい......ガルドとラガンがくたばってるぞ.......」
「あいつ何者だ?見ない顔だけどよ......」
「攻撃が見えなかった......何をしたんだ?アイツ」
周りがザワザワし始めた。
んん、目立つのはさすがに避けたいな。まだ右も左もわからないし。
「一旦ここを離れようか。君も冒険者登録しに来たんだよね?なら、一緒に登録しよう。」
「ふぇっ!?......わ、わかりました!」
「そういえば君、名前は?」
「あっ......ミレア、です。」
「ミレアか。僕はカナト。よろしく。」
「は、はい、よろしくお願いします、カナトさん。」
そんなぎこちない会話をしつつ、僕らは人混みをかき分けてツカツカとカウンターへ向かった。
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