神様っているんだな
「ここは.....」
目が覚めると、雲の上にいた。
....何を言っているかわからないと思うが、雲の上にいた。
「あれ....?何が起きたんだ....?」
「ここは神界じゃよ。ハルヤカナトくん。」
「うぇっ!?」
びっくりして変な声が出た。
「しんかい.....神界......?」
「そうじゃ。神の世界、神界。君は死んでしまってのう。」
「えっ!?」
また変な声が出た。
「申し訳ないのう....残した人や夢があったじゃろうに.....」
「いや....まあそれは大丈夫なんですが......」
まあ実際なりたい職業とかなかったしな。
それにしても.....じゃああの魔方陣は本物だったのか。
「君の世界に少々不具合が生じてのう.....本来別の場所で発動される魔法がそっちの世界で発動してしまってな。本来ならすぐ修正できるんじゃが、今回はそれより先に君が被害を受けてしまった。本当にすまなかったのう.....」
深々と頭を下げる神様。
って、さすがに神様に頭を下げさせるわけには!
「いやいや!頭をあげてください!突然でびっくりはしましたけど.....」
「そうか?本当にすまんのう.....それでじゃ。君をここによんだのはこれからのことについての話じゃ」
「これからですか?」
「そうそう。あ、まあ座りなさい」
「あ、どうも失礼します....」
ちょっと落ち着いてきたけど.....夢の中みたいな感覚だ。
勧められるがままに椅子に座る。
.....なんだこの椅子?神のようにフカフカだ。
神様のものだからそりゃそうか?
「それでのう。君をここに呼んだのは、今の君の世界と別世界に召喚するためじゃ。異世界転移、とでもいえばわかるかのう」
マジか。異世界転移なんて、全オタクの夢じゃないか。いやいやいや!ほんとに?
「転移....ですか、そこで新しい人生を歩むみたいな?」
「そうそう、そうなるな。元の世界に残した人もおるじゃろうが、元の世界で君は死んだことになっておってな......生き返ることはできんのじゃ.....」
マジか......20にして死ぬとは思ってなかったな。まあやり残したこともないけどさ。
「そうなんですか......」
「それでのう。お詫びもかねて、君にはいろいろと役に立つ力を与えようと思うのじゃ。魔法の適正とかのう。」
「魔法?魔法があるんですか!」
「お?興味があるかのう?なら、大サービスじゃ。ほれ。」
神様が僕に手をかざす。あったかい。何かが流れ込んでくる感じだ。
「なんですか...?いまの」
「向こうに行ってからのおたのしみじゃ」
ニヤリと笑う神様。意外とお茶目なのかもしれない。
「向こうの世界ってどんな感じなんですか?」
「そうじゃのう.....元の生活に比べると文明のレベルは下がるかもしれんのう。君のいた世界でいう『産業革命』が起こる前の文化くらいじゃな。」
なるほど......だいたい中世くらいなのか。世界史に興味があった僕としてはちょっとうれしい。
「ほうほう.....それで、僕はなにか使命とか与えられる感じですか?」
「んや?君はわしのミスで死んでしまったのだし、その分の償いとしてじゃ。だから君自身のしたいように楽しんでくるといい。」
そうだったのか。てっきり「文明を発達させよ!」とか「魔王を倒せ!」とか言われるのかと思っていたので、ちょっとびっくりした。やばい、楽しみになってきたな。
「あ、でも世界を滅ぼすことは勘弁してくれるとうれしいのう。ほっほっほ。」
「いやいや、そんな人をバーサーカーみたいな.....」
「ほほ、可能性は無限にあるんじゃ。神様にも予測がつかないくらいにな。」
僕を指さす神様。......なんて答えるのが正解なんだ。これ。
「まあとにかく、君が楽しく暮らせることを期待しておるよ。」
「......ありがとうございます、なんだか僕も楽しみになってきました。」
「そりゃよかった。またなにかあったら言いなさい。それでは、送るぞ。」
「はい。ありがとうございます。」
そう言うと、神様はまた僕に手をかざした。
「元気でな」
視界がふっと消え、僕はまた意識を落とした。
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