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妖精王の愛し子、世界樹のふもとで魔導具屋さん始めます!  作者: るあか
第五章 強さを示して

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54話 テオの決めたこと

⸺⸺ホークアイズ城、玉座の間⸺⸺


 テオと共に玉座の間へ行くと、ホークアイズ王にベアトリクス王妃、そしてオベロン王に魚人の王であるニコラス王が談笑をしているところだった。


「父上、シルフィを連れてきました」

「おうよ、お前ら2人から話があるんだろ? 何でも言ってみろ」

 ドーンと構えるホークアイズ王。テオはこくんと頷き、再び口を開いた。


「僕……いえ、私は、タカの集いには王族としてこれからも参加しようと考えていますが、王位を継ぐつもりはありません」

「ほぅ、やりたい事が見つかったんだな?」

「はい。私は冒険者として、シルフィの魔導具屋を支えていきたいと思っています」


「魔導具……名前だけは俺の耳にも入ってはいるが、どんなものだ? 王位継承権を蹴ってまで必要なものなのか?」

 ホークアイズ王はグッと身を乗り出して興味を示した。その少し威圧的な質問にも、テオは一切怯まずにこう答えた。


「はい。シルフィにはクラフトというスキルがあり、私のこの魔法杖も彼女に作ってもらったものです」

 テオはそう言って背負っていた魔法杖を構えてみせる。

「マジか! これをこの子がねぇ……」

「エドガー陛下、この魔法杖、かなりの上等品ですぞ。魔力の変換効率も良く、王宮杖職人でもここまでの物はなかなか作れません」

 と、ニコラス王。いやぁ、照れるなぁ。


「これは、魔力を持つ者にしか扱えない物ですが、魔導具は、魔力を持つ者にも持たない者にも恩恵のある道具なのです。例えばこの国のあちこちにある街灯。毎晩街灯番のエルフさんらが必死に灯してくれて、毎朝消してくれていますよね?」

「あぁ、あれなぁ。マジで大変そうだから、やっぱり鳥人の俺らが松明持って飛び回った方が良いのかなとは考えてるんだが……」


「それをしなくても、毎晩勝手に街灯に火がついて、毎朝勝手に火が消えてくれたらどうですか?」

「……は? まさか、その魔導具とやらはそれが出来ると……?」

「なっ、そ、そんな代物なのか、魔導具とは……」

 ホークアイズ王もニコラス王も興味を持ってくれている。これはもしかして、ホークアイズの国だけではなくて、魚人の国にも……。


 ここでテオがアイコンタクトを送ってくれたので、私は頷き彼からバトンタッチした。

「はい、出来ます! 街灯番のエルフさん、とっても大変そうでした。もし、エルフさんたちのお仕事がなくならないのであれば、この国にも魔導街灯を設置させてください。良ければお試しで1本無料で設置します。ニコラス陛下もどうでしょうか? 私は転送魔法が使えるので、一度国まで案内してもらえれば後はすぐに行き来が出来ます!」


「なるほど、んなすげぇもんなら是非とも頼む。そうだな、んじゃその“お試し”を使わせてもらって、この城の目の前にその魔導街灯っつうのを設置してくれ。そいつの出来でシルフィ嬢との契約を検討しよう。テオ、てめぇの話はその魔導街灯ってのをこの目で見てからだ。ちなみにエルフの街灯番には別の仕事もちゃんとある。そこは気にすんな」

「ありがとうございます!」

「はい、それで大丈夫です」


「シルフィ嬢、私もとても興味があるから、その“お試し”を見させてもらってもいいか?」

 と、ニコラス王。

「はい、もちろんです!」

「ありがとう。と言うことでエドガー陛下。もう1日滞在させてもらいますよ」

「あぁ、オベロン陛下もシルフィ嬢と一緒に滞在されるだろ?」

 ホークアイズ王はそう言って(さかずき)をクイッと飲む仕草をしてみせた。

「そうですね、ぜひ」

 オベロン王も手をクイクイと動かし、ニコラス王までもがクイクイし始めたので、ただの飲み仲間じゃん……と心の中でツッコんだ。


 クウガとローラも一緒にホークアイズ城に滞在させてもらっていたので、彼らも一緒にもう1泊することになった。


⸺⸺


 そして夕方にみんなの前でホークアイズ城前の街灯を魔導街灯にクラフトし直す。もうその時点でホークアイズ王もニコラス王も大興奮で、辺りが暗くなって街灯が勝手につくと、即座に2人の王との魔導街灯設置契約が成立した。


「いやぁ、そりゃシルフィ嬢、世界樹の祝福も受けて、世界樹から直々に爵位も(たまわ)る理由も分かるわ! 俺もますますテオの嫁にしたくなっちまったな……」

 ホークアイズ王は上機嫌でそう言った。もう、またその話……。

「父上、シルフィが困るからやめてください」

 テオがビシッとツッコんでくれたので、私は「あはは……」と笑って誤魔化した。


「んだよ、つれねーなぁ。んで、テオ。魔導具の有用性ってのは良く理解できた。その上で、改めててめぇの話を聞かせてくれ」

「はい。今朝も伝えましたが、魔導具は魔力の有無に関わらず人々の生活を支える必需品だと私は考えています。そんな魔導具を、人々のために世界中に普及させようとしているシルフィにとても共感出来るのです。だから私は一国の王子として、彼女の活動を支えていきます。どうか、ご理解ください」


「よし、良いだろう。そもそもてめぇは俺に末っ子として十分な強さを示してくれた。その時点で俺は好きに生きれば良いと思っていたが、てめぇのその心意気が気に入ったから俺も国を挙げてテオを応援させてもらう。もし素材集めの人手が足りねぇならウチからも派遣するからいつでも言ってくれ」

「私もエドガー陛下と同意見だ。ウチの国もいつでも君らの助けになると約束しよう」


 そう言ってくれたホークアイズ王とニコラス王に、私とテオは「「ありがとうございます!」」と強く感謝の意を述べた。


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