49話 銀の勲章
私は妖精貴族の称号と妖精の羽を授かったからか、妖精の羽を出している間はクラフトのスキルもパワーアップをしており、1回のクラフトで最大100個まで一気に生成出来るようになった。
これにより日々の在庫確保は余裕になってむしろ素材の方が足りないので、ローラの故郷のカーネ族の人たちとも冒険者契約を交わして素材集めを手伝ってもらった。
ユグドーラ城前のワゴン販売は、“おひとり様1日1つずつ”という制限は設けたが宿屋の売店の時のように部屋数である30人限定というのはなくなったので、気まぐれ午前中販売でも1日に何百人もの人が魔導具を買いに来てくれた。
⸺⸺
そんなこんなで10日ほど経ったある日、遂にテオが世界樹のダンジョンの地下200階へと到達し、クウガと共に上級階層の最初の難関である地下210階のボスを倒したとの報告を受けた。
「え〜、すごい! 地下210階のボスって、クウガがずっと倒せなかったボスだよね」
ユグドーラ城の私たちに貸し出されている客間で、4人でおやつを食べながら話し込む。
「そうなんだよ。結局あのボス、物理攻撃と魔法攻撃に対するバリアを交互に張って、更に常時体力回復もしてたから、俺だけじゃぁ全くダメージを与えらんなかったんだよな」
「あっ、物理攻撃のバリアを張っている間に全回復しちゃうってことかぁ」
「そそ。それでもただ魔法アタッカーと組めば良いってもんじゃねぇ。魔法攻撃が通るときに、常時回復している以上にダメージを与えられなきゃしんどいからな。テオは、そこまでの攻撃が出来るようになってんだ」
クウガがそう言うと、テオは「えへへ。魔法、楽しくて無我夢中で修行してたら、いつの間にか……」と照れて笑っていた。
ローラは200階を突破した時に手に入る『世界樹の上級へ辿り着きし者』という銀色の勲章を眺めていた。
「すごいじゃない! この銀色の勲章だけでもあちこちで傭兵の需要がありそうよ。カーネのみんなも銀色の勲章があるかないかで仕事の幅がガラッと変わるって言っていたわ」
「ま、俺らはもう立派な雇い主がいるからいいけど、他に威厳を示すためには個数も必要だよな。ほら、他の四大精霊のいるところにも巨大ダンジョンがあるじゃねぇか。そのダンジョンも世界樹のダンジョンほどじゃねぇけど200階層くらいあって、上級エリアに辿り着くと銀色の勲章がもらえんだよな」
と、クウガ。
「そうなのね、知らなかったわ」
「カーネ族の人たちも素材集めを手伝ってくれてるから、もしそっちのダンジョンを攻略したくなったら素材集めをしばらく休んでも良いからね」
「ありがとな、シルフィ。確かにそっちのダンジョンに遠征するのも面白そうだなぁ……」
「僕の故郷のある山脈にも、“天空のダンジョン”っていう250階建ての塔があるよ」
と、テオ。
「天空のダンジョンか……お前の故郷は、風の大精霊様の守護範囲なんだな。あ、でも……故郷の近くになんて行きたくねぇだろ?」
クウガがそう言うと、テオは苦い表情を浮かべてこう返した。
「それは……僕が王族にまだ席がある以上、そろそろ嫌でも帰らなくちゃいけないんだよね……」
「どういうこと……?」
と、3人で首を傾げたその時。お城のメイドさんが私たちのいる客室の戸をトントンとノックした。
「テオバルト王子殿下は居られますでしょうか? “ウェント山脈”の“都市国家ホークアイズ”より、第5王妃殿下がいらっしゃいました! 玉座の間にてオベロン陛下とお待ちです」
「えっ、それって……!」
私はテオがずっと前に話してくれた故郷の話を思い出した。都市国家ホークアイズは、テオの故郷の事だ。確かテオはその国の第7王子なんだよね。
「ほら、やっぱり……。しかも、母上がパシリに……こんな事なら、もう少し前に自分から帰っておけば良かったな……」
テオはそう言ってはぁっと溜め息をついた。
「第5王妃殿下がテオのお母様なのね? とにかく、玉座の間へ行かなくちゃ」
と、ローラ。
「テオ、心配だから私たちも一緒に行ってもいい?」
私がそう尋ねると、テオは「もちろん。みんなを母上に紹介したいし、一緒に来てよ」と頷いてくれたため、みんなで一緒に玉座の間へと向かった。




