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妖精王の愛し子、世界樹のふもとで魔導具屋さん始めます!  作者: るあか
第三章 魔導具屋さんとカフェ、始めます!

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34話 世界樹の麓の名物

 オベロン王と正式に魔導街灯の契約をして、初めは王都ユグドラシアの世界樹の(ふもと)の街灯を。それが完了したら王都中の街灯を魔導街灯へと切り替えていった。


 魔導具屋さんの方も、テオが魔道士としてデビューをしてダンジョンに潜り始めてクォーツスライムで修行をしてくれるとのことだったので、専属の冒険者契約を結んで水晶の欠片を持ってきてもらうことになった。


 これで素材集めをしなくてよくなった私は午前中は安らぎ亭で魔導具屋さんを、午後からは王都の街灯の交換作業を。

 そしてある程度の交換作業を終えたらその日は切り上げて、翌日の商品のクラフト作業を行うという流れが出来上がった。


 オベロン王からの依頼が全て完了したらクウガとテオと一緒に素材集めをするのも良いし、新たな商品を開発しても良い。

 やることはたくさんだけど全部楽しいし、忙しいって感覚もほとんどない。


 更にお金もどんどんと貯まる一方で、そろそろ安らぎ亭を卒業して自分のお店を建てられちゃうんじゃないかとも思う。


⸺⸺


 一方でローラのカフェもすこぶる順調で、特にアイスコーヒーと“世界樹かき氷”が大人気だった。

 世界樹かき氷とは、木目調の紙コップにかき氷を入れて、抹茶シロップで味付けをし、更に最後に全体に抹茶パウダーをかけたものだ。

 抹茶シロップは甘めの味付けで、抹茶パウダーは苦めの味付けなので、口の中で程よく混ざり合ってスッキリと食べることが出来る。最近はおやつに安らぎ亭の従業員もみんな食べるくらいだ。


 そしてなんと、安らぎ亭が旅行のガイドブックで特集されることに。

 安らぎ亭の充実した魔導具設備、売店のカフェのコーヒーの美味しさと新しさ、最後に魔導具屋の魔導具の便利さと合わせて“世界樹の(ふもと)の名物”と呼ばれるようになった。

 更に夕方になると同時に灯る魔導街灯も、それ見たさに人だかりが出来る程だった。


⸺⸺


 ある日のこと。

 私は王都ユグドラシア中の街灯を魔導街灯に交換し終え、報酬もガッポリもらってクウガとテオとパーティを組んでダンジョンに潜っていた。


⸺⸺世界樹のダンジョン、初級の火山洞窟B19F⸺⸺


「ファイア!」

 テオの放った炎の球がクォーツスライムにクリティカルヒットして、ワンパンされたクォーツスライムは黒い霧となって消えていく。そして、そのスライムの居た場所には“魔石”と“水晶の欠片”が落ちていた。


「やったのだ♪ またレアドロップしたのだ♪」

 ファムはそう言って空中で小躍りする。

「本当だ! やっぱ、シルフィがいると目に見えてドロップ率が違う気がする!」

 と、テオ。

「世界樹の祝福の効果を“結界”から”幸運”に切り替えたのだ。効果はバッチリなのだ」

 そんな便利な切り替え効果があったとは……。


「テオも魔法、どんどん上手になってるね! きっと毎日たくさん修行してるんだね」

 私がそう言ってほめると、テオは「えへへ」と照れてはにかんでいた。


「実は僕、明確な目標が出来たんだ」

「なになに?」

「クウガと一緒に、この世界樹のダンジョンを制覇したい。4人までのパーティなら証をドロップするから、協力して頑張ろうってことになったんだ」

「そうなの!?」

 驚く私にクウガが「おうよ」と答える。


「ダンジョンのベテランの冒険者に教えてもらったんだ。上級階層は一人で攻略するものじゃない。仲間との連携が必要不可欠になるから、そう言った連携の取りやすい気の合った仲間を見つけることも、攻略の内だってな」

「そうなんだ! 仲間との連携かぁ、素敵な響き♪ 2人ともすごいなぁ、前に進んでるね!」

「うん、もっと強くなって、早くクウガと肩を並べて戦えるようになりたいんだ」

「おうよ、期待してるぜ相棒!」


 クウガもテオも自分の目標をしっかり掲げて、確実に前に進んでいる。


 私には、安らぎ亭への恩返しとこの世界への魔導具の普及っていう目標がある。だけどもう一つ、何も言わずに出ていった人間の国へも、しっかりとけじめをつけないと、と思っていた。

 切り捨てるんじゃなくて、私は外国で立派にやっていますって、そう胸を張って言えるように。屋敷のメイドさんたちに今までありがとう、もう私は一人で大丈夫だからって、そう言えるように。


 ここに来た当初は、こんなふうに考えることは出来なくて、私はもう家とは縁を切って幸せになっていいんだって、そういう考え方しか出来なかった。

 でも今は違う。しっかり向き合わなくちゃってそう思えるようになっている。


 何はともあれ、まずは魔導具の普及だ。まだ一人前とは言えないから。


 そんなことを考えながら素材集めを終えて安らぎ亭の寮に戻ると、オベロン王が庭でアイスコーヒーを飲んでいた。

「帰ったかシルフィ。お前を待っていたんだ」

「なんか、めちゃくちゃすごい人のはずなのに、もうすっかりこの庭に馴染んでるね……」

「どうとでも言え。次の仕事を持ってきたぞ」

「おぉ……!」


 クウガとテオと別れてオベロン王と合流した私は、お仕事の話をするためにユグドーラ城へと招かれた。

 オベロン王のお仕事はきっと、町単位の大きなお仕事だ。気合い入れて行こう!


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