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妖精王の愛し子、世界樹のふもとで魔導具屋さん始めます!  作者: るあか
第三章 魔導具屋さんとカフェ、始めます!
20/72

20話 商品開発と続・売店の準備

⸺⸺安らぎ亭、寮202号室⸺⸺


 販売用のワゴンはとりあえず庭の洗濯場の屋根の下に置かせてもらい、私とファムとローラさんは私の部屋にこもっていた。


「はい、コーヒーどうぞ」

「あっ、ありがとう!」


 ローラさんは魔導ドリップケトルを使って、猫の耐熱紙コップにコーヒーを淹れてくれた。

 私は目の前のビンに入れてあった角砂糖を1つコーヒーの中へ落とすと、自作の木製のマドラーを使ってクルクルとかき混ぜた。ちなみに肉球のワンポイント入りだ。


「んー、やっぱローラさんの淹れるコーヒー美味しいよ♪ 7歳の舌でもミルク無しでいけちゃうもんね」

「ふふ、ありがと。カフェラテやオレも出来たら良いんだけど、ミルクの保存が困るのよねぇ……」


「牧場からしぼりたてを買ってこなくちゃだもんね……。毎日当たり前のように飲んでいたミルクが、実は毎朝メイドさんが郊外の牧場まで買いに行っててくれたなんて、知らなかったよ……」


 伯爵の屋敷を飛び出して気付くメイドさんの苦労はたくさんある。

 こんなことなら、せめてメイドさんたちにありがとうだけでも言えたら良かったとも思う。


「安らぎ亭の地下の食糧庫に置いておけば1日くらいは持つと思うけど、カフェラテを頼まれるたびに地下に取りに行くのは、ちょっと効率悪いかなぁ……。あーぁ、氷の魔法が使えたらなぁ……」


 冷蔵庫みたいな物があれば……。そう考えた途端、クラフトレシピブックが光を放った。

「あっ、もしかして……!」

 レシピブックを開くと『保温箱』と書かれた鉄の箱のような物が追加されていた。更に魔導具の欄にも『魔導氷冷器』という5cmほどの正方形の物が追加されている。


「あーっ、やっぱり、氷の魔石を使った魔導具が! せっかくクウガさんに雪山のフロアまで連れて行ってもらって氷の魔石を作れたのに、今まで何もレシピが追加されなかったんだよね」

「シルフィがどんなふうにその素材を使いたいかを思い浮かべる事が重要なのだ」

 ベッドで昼寝をしていたファムはむにゃむにゃとそう言い、再びパタンと寝てしまった。


「ってことは、シルちゃんは今『食材を冷やすものを作りたい』って思ってくれたってことね。ありがとう、あなたに助けてもらってばかりだわ……」

「そんなことないよ、もしかしたら、私も新商品に出来るかも。早速作ってみよう」


 まずは保温箱。素材はスチール鉱石と“フリグス鉱石”が10個ずつ。

 フリグス鉱石は雪山のフロアでたくさん掘り出すことが出来て、遮熱効果があって寒い土地の建物なんかに使われるそうだ。

 木箱をガサゴソと漁って素材を床の上に山積みにする。


「保温箱をクラフト!」

 そう唱えると、目の前の石の山が鉄の箱へと姿を変えた。30cmくらいの立方体だ。

 上に取っ手の付いた蓋が付いていて、蓋を持ち上げると中は氷のように透き通った青色で出来ていた。これはフリグス鉱石で作った物の特徴だ。


「重っ……」

 ローラさんが保温箱を持ち上げようとするが、5cmほど浮かすのがやっとだった。

「重いね……これをワゴンで販売するわけにはいかないなぁ……。とりあえず、次は魔導氷冷器を作ってみる」


 魔導氷冷器の素材はフリグス鉱石と魔石と氷の魔石が1つずつ。

「魔導氷冷器をクラフト!」

 今度は小さな真四角の箱が誕生。1つだけ付いていたボタンを押すと、その箱はどんどんと冷たくなり、やがてひんやりとした冷気が出始めた。


「冷たっ! これ、すごくない!? この保温箱って言うのに入れなくても、普通の木箱に入れるだけでもかなり冷やせるかも。こんな冷たいもの触るの初めて〜。おもしろーい」

 ローラさんは興味津々に魔導氷冷器をツンツンしていた。

 なるほど、勝手に冷え続ける保冷剤みたいなものか。需要はありそうだ。


「良いね、じゃぁ、保温箱は売り物にはしないで中に魔導氷冷器を入れて、ローラさんがミルク冷やすのに使って。それで、この魔導氷冷器を商品に追加しよう♪」

「賛成♪ それなら朝一でミルクを買って来ればラテもオレも出来そうだわ。ありがとね、シルちゃん」


⸺⸺


 それからは個別に商品の値段の設定やリストの作成をし、ローラさんはコーヒー豆の買い出しに行った。

 私はその間にローラさんの使う紙のコーヒーカップと木製のマドラーをクラフト。

 それが終わったら自分のお店の在庫もせっせとクラフトしていった。


⸺⸺夜。


 再びローラさんが私の部屋を訪ねてきたので中へ入れると、彼女は2つのカフェボードを私に見せに来てくれた。よくカフェの入り口に立っているメニューなどが書いてある看板のことだ。


「わぁぁっ! どっちも出来たんだ! すごい、オシャレ……!」


 オシャレなイラストと共に、魔導具屋さんとカフェのメニューがそれぞれ書いてあった。


⸺⸺⸺⸺


魔導具(まどうぐ)屋さん*MENU


・魔導ランタン 2400C

・魔導ランプ  2400C

 ロウソクもオイルも魔力もいらない!

 ワンタッチであなたの周りに明かりを灯します


・魔導松明   1500C

 夜間や洞窟の冒険のお供に!


・魔導氷冷器  2400C

 ボタンを押して箱の中に入れるだけでひんやり空間に!

 地下室に置くだけで部屋の温度も下がります


※宿泊客限定販売! 各魔導具、お一人様一つまで


⸺⸺⸺⸺


⸺⸺⸺⸺


Cafe*MENU


・ドリップコーヒー 600C

・カフェオレ    700C

・カフェラテ    700C


※使い捨ての紙コップでお渡ししますので、好きな場所でお召し上がりください。


⸺⸺⸺⸺


「なんとか今日中に書き上げれたの。だから明日からお店、始めましょ♪」

「うん!」

 遂に明日、宿屋の中だけど自分たちのお店を開くんだ……!


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