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14話 出来た! 魔導具!

「おぉ、また光ったぞ! 次は何のレシピが……!?」

「ちょ、クウガ、頭邪魔! みんな見えないでしょ!?」

 クラフトレシピブックをグイッと身を乗り出して覗き込んだクウガさんは、ローラさんにポカッと頭にげんこつを食らって静かに引いていった。

「……す、すまん。つい……」


「あはは……」

 気を取り直して本を確認すると、『魔石』の見出しの下に『魔導具』という見出しが追加されていた。


「魔導具!?」

 と、一同。これにはオベロン王とティターニア様も興味津々のようだった。

「ねね、シルちゃん、開いてみましょ♪」

「うん!」


 『魔導具』の見出しを掴んで捲ると、最初のページに載っていたのは『魔導ライター』と『魔導ランタン』、そして『魔導ランプ』に『魔導松明(たいまつ)』の4つだった。


「炎の魔石を使う物ばっかりだ!」

「なぁ、ライターってなんだ? あとの3つは分かるけどよ」

 と、クウガさん。口で説明するよりも作った方が早そう。

「魔導ライターの必要素材は……スチール鉱石と魔石と炎の魔石だね。1回で10個一気に作れるんだ。スチール鉱石があれば出来そうだから、ちょっと部屋から持ってくるね」


 そう言って立ち上がると、オベロン王がパチンと指を鳴らしてスチール鉱石を出してくれた。

「今はこれを使え」

「ありがとう! ってか、オベロン陛下って……魔法で何でも出来るね……」

「一応妖精王だからな」

 それ、ちゃんと答えになってる?


 オベロン王のことは置いといて、早速ベンチに素材を並べて両手をかざす。そして……。


「魔導ライターをクラフト!」

 素材が光に包まれて、10個のライターが誕生する。見た目は前世で見たことのあるフルキャップ式のライターのそれだ。

「見た感じ普通の平たい鉄の箱だけどな……」

 と、クウガさん。

「これはね、こうやって使うんだよ」

 私はピンッと蓋を弾いて開けると、中にあったボタンをポチッと押し込む。

 すると、ボタンの横にあった小さな穴から極小の炎がポッと吹き出た。そしてボタンから手を離すと消える。安全設計だ。

「すげぇ! 魔法を使ってねぇのに火が点いた!」

「えっ、それ、本当に魔法使ってないのよね?」

 興味津々とクウガさんとローラさん。


「うん、いっぱいあるからみんなもやってみて。っていうか1つずつ持っていって良いよ」

「マジか、さんきゅー!」

「私まで良いの? ありがとう!」

 クウガさんはベンチに置いてある魔導ライターを1つ取り、私がさっきやったようにカチッと火を点けた。続けてローラさんも、そしてオベロン王、ファムまでもが魔導ライターを持って火を点けていた。


「おぉー! マジで火が点いた!」

「これだけでももうマッチ要らないじゃない!」

 確かに、魔導ライターが1つあるだけで家中のランプに火が点けられるね。

「これは……なるほど、この下の部分に魔石と炎の魔石が入っているのか。これは……軽く革命だぞ。“魔導革命”とでも呼ぼうか」

 と、オベロン王。

「そ、そんな、ライター1つで大げさな……」


『いいえ、大げさなどではありません。あなたにとって、このライターという道具はそんなにすごいものではないかもしれません。ですが、我々にとって魔力の消費をせずにワンタッチで火を起こすことが出来るというのは、とんでもないことなのです』

「そうそう、特に俺らは魔力がねぇからさ……」

 と、クウガさん。

「そっか……」


『それに、その魔導ライターは先程シルフィが実験をした魔石と炎の魔石の組み合わせで出来たものですが、あの実験の際にマナの流れを見ていたところ、2つの魔石を中心にグルグルと循環をしていました。つまり何が言いたいかと言うと……空気中のマナを燃料として、半永久的に使えます』


「うん、そうだろうなって思ったんだ。マナは空気中にたくさんあるから無くなることはないし。多分、使いすぎて中に入ってる魔石がすり減ったら使えなくなる感じだよね」


『その通りです。ですから、永久ではなく半永久的と表現しました。見た感じこの魔導ライターは毎日使っても1年ほどは使えると思います』

「これ1つで1年!? 確かにこれは革命だわ……」

 と、ローラさん。

「やべぇ……本当にこんなすげぇもんもらっちまって良いのか!?」

 クウガさんはライターを両手で持ってガクブルしている。


「うん、持っていってよ。もっと作って、安らぎ亭の部屋にも使い方のメモと一緒に1つずつ置いたら、お客さんも助かるよね。よーし、たくさん作ってルシールさんとダグラスさんに見せてみよう。まずは素材集めからだね。火炎草をたくさん取ってこなくちゃ」

「おう、このライターのお礼だ、俺も手伝うぜ!」

「ありがとう、クウガさん!」


「私も手伝うわ!」

「ローラ……お前はダンジョン潜ったことねぇだろ。火炎草の生えてるB11Fまで行くのに何日かかると思ってんだよ……」

「うっ……そうなのね……。クウガにツッコまれるなんて、屈辱だわ……」

 ローラさんはガーンと落ち込む。


「あはは……。じゃぁ、ローラさんはルシールさんたちに知らせておいてくれる?」

「分かったわ! そうだ、魔導ライターの使い方のメモを置くって言ってたわよね。そのメモ、私が書くわ! それで、あの……色鉛筆っていうの使ってみたいんだけど、貸してくれる……?」

 ローラさんはモジモジとそう言った。

「色鉛筆使ってみたかったんだ……。もっと早く言ってくれたら良かったのに。じゃぁ、色鉛筆セットあげるから、メモもお任せします♪」

「やったぁ♪ まっかせて!」


⸺⸺


 魔導具というアイテムの発明で、やっと、みんなに恩返しが出来る♪

 オベロン王とティターニア様が帰っていくのを見送ると、色鉛筆セットをクラフトしてローラさんへプレゼント。その後、私とクウガさんは世界樹のダンジョンへと向かった。


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