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11話 魔法職人の集う地下都市

⸺⸺翌日の業務終了後15時過ぎ。ユグドーラ城、玉座の間にて。


「オベロン陛下〜! 来たよ〜!」

 おーい、と手を振りながらオベロン王の座る玉座へと向かう。ファムも私の頭の上で小さなお手手を振っていた。

「し、ししし失礼します……!」

「やべぇ……ガチで妖精王だ……」

 ドワーフの地下都市への遠足に誘ったローラさんとクウガさん。

 2人ともノリノリで行くって言ってくれたのに、いざユグドーラ城に入ったらガチガチに緊張してしまっていた。


「来たかシルフィ。ローラとクウガであったな。お前たち2人がかなり面倒を見てくれているとシルフィから聞いている。私が連れてきた人間の子だ、感謝しているぞ」

「そ、そんな、私はただ……!」

「勿体なきお言葉です……!」

 あーあ、駄目だ。カチコチだ。案の定、オベロン王はふっと吹き出した。

「そう硬くなるな。私は向こうに着いたらドワーフ王に用があるため、一緒に行動することはない。気楽に、シルフィのことを頼んだぞ」

「「は、はい……!」」


「オベロン陛下、どうやって行くの? ドワーフの国はここからすごく遠いんでしょ?」

 普通は日帰りで行って帰って来れる距離ではないってルシールさんは言ってたけど、オベロン王が『21時までには帰る』と言っていたのを信じて日帰りの荷物で来た。

 ドワーフの国の地下都市は、ルシールさんとダグラスさんの故郷なんだって。


「そんなのこうするに決まっているだろう」

 オベロン王が立ち上がり指をパチンと鳴らすと、目の前の床に光の魔法陣が出現した。

「わっ、これ、世界樹の洞窟とかにある転送魔法陣?」

「そうだ。あれも私が設置したものだ。時々張り直している」

「すげぇ……知らなかったぜ……」

流石(さすが)、精霊王様……」

 と、クウガさんとローラさん。


「じゃぁ、もしかして、一瞬!?」

「一瞬だ。では、早速行くとしよう」

 私たちはうんと頷いて、いっせーのでで魔法陣へと飛び乗る。一歩先に乗っていたオベロン王はふんと鼻で笑っていた。



⸺⸺⸺


⸺⸺




⸺⸺ヴォルカノ王国、地下都市ヴォルカディス30F⸺⸺


 転送された先は、真ん中が吹き抜けになっており、天井の高い洞窟。吹き抜けからオレンジの光が漏れ出しており、柵に手をかけて覗いてみると、吹き抜けの底にはマグマが煮えたぎっていた。

 更に、今いるフロアと同じようなドーナツ状のフロアが幾層(いくそう)にも重なっており、まるで大空洞の中に作られた巨大なショッピングモールのようだった。


「えっ! なんでマグマ!? あれ、その割にはそこまで暑くはないような……あっ!」

 私はピンときて、お勉強用のノートを取り出し中を開く。


「ここってもしかして、炎の大精霊のいる活火山? マナの層が厚いおかげで、あんまり暑くないって……」

 私がノートを見ながらそう言うと、クウガさんは「厚いおかげで暑くない……なんか、ややこしいな……」と呟いていた。


「そうだ。ここは“火山竜サラマンドラ”の加護のある“ヴォル活火山”の中だ。お前が勉強してきたことを、その目で確認して来い。では、私は“小人王”に謁見してくる。21時頃にもう一度ここに集合だ」

「はい!」

 と、一同。私たちはオベロン王が目の前の壁に埋め込まれた豪華な扉の中へと入って行くのを見送った。


 ローラさんがフロアマップと書かれた看板を見に行ったので、私とクウガさんも一緒に覗きに行く。

 フロアマップには『30F、王の間』と書かれていた。

「30階!? めちゃくちゃたくさんあるね……」

「ね、そのうち20階から29階までは居住区だから、19階から順番に下がって行きましょうか」

 と、ローラさん。


 みんなでフロアの隅に設置されていた転送魔法陣へ乗ると20階へと移動したので、そこから階段で19階へと下りた。


⸺⸺ヴォルカディス19F⸺⸺


 再びフロアマップを確認すると、19階から13階がショッピングフロアであり、12階から10階がレストランフロア、そして9階から1階が職人工房となっていた。


「お店、いっぱいあるね。何を売っているのかな?」

「ドワーフって言ったら、魔装飾ね。魔法杖なんかも売っているかも」

 と、ローラさん。

「その魔装飾って何なの?」

 そう疑問を投げかけると、クウガさんが「俺ちょうど欲しいのがあったんだよ。見れば分かると思うから買い物付き合ってくれ」と言ったので、私もローラさんもクウガさんに付いて回ることにした。


 初めて訪れた魔装飾屋さんで、私は納得する。

「あぁ、魔装飾って、そういう事かぁ!」

「な、見りゃ分かるだろ?」


 並んでいたのは腕輪や首飾りのようなアクセサリー。

 商品名は『魔力の腕輪』に『体力の首飾り』といったものだった。


「魔装飾って、ステータスアップのバフのついたアクセサリーのことなんだ!」

「そ。俺はダンジョン探索もしてるから、こういった魔装飾は必需品なんだよ。階層によって付けるもんも変えたりな」

 と、クウガさん。ローラさんが続く。

「ユグドラシアにも魔装飾屋さんはあるけど、本家のここほどたくさんはないから、自分の欲しいデザインと効果が合わないことがあるのよね」

「マジでそれな」

「そっか、欲しいものがあったんだったらちょうど良かった!」


「私もね、このヴォルカディスのレストランには1回でいいから行ってみたいと思ってたの。お店を一通り回ったら食べに行きましょ♪」

「うん♪」


 2人を誘っても良かったのかちょっと心配だったから、2人にもちゃんと来たい目的があってホッとする私であった。


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