迷宮の竜が私達を皆のところに連れていってくれました
「見つかって良かったわ」
ネックレスが見つかって私はほっとした。
ティラノザウルスのティラちゃんが大きく頷いていた。ティラちゃんの安堵のしようからして、このまま見つからなかったらティラちゃんは責任を取らされて、焼きティラちゃんになって食べられるのではないかと危惧していたのではないかと思う。
いくら何でも、私はそんな酷い事はしないわよ!
「あれ、空があかね色に変わってきたわ」
青空が夕焼け色に染まっている。どうやら夕方になったらしい。
私はツアーの皆のことが気になってきた。
特にヨハンのことが……
きちんと残りの皆をちゃんと宿に帰せただろうか?
まあ、モーリス達がいるから問題ないと思うけれど……
取りあえず疲れ切った私達はその日はそのままそこで野営することになった。
夜は冷えるそうで風邪を引くかもしれないということで、
「じゃあ火を焚けば良いんじゃない?」
「何を考えているんだ! 迷宮で火を焚くのは厳禁だろう!」
「ギャオーーーー」
一人と一匹に注意されてしまった。
そう言えば昔火を焚いて大変なことになったのを思い出していた。
その後私をどちらが温めるかで一人と一匹で喧嘩していたが、結局一人と一匹で私を温めてくれることにしたらしい。
私は一人と一匹の間で挟まれて野宿したのだった……
その夜私は夢を見た。
小さい頃の自分だった。
ロンバウトと一緒に迷宮で迷って、寒いと思って火を焚いたのだ。
その瞬間だ。空から大量の水が降ってきて、私達は濡れ鼠になった。
火はあっという間に消えてしまった。
「最悪じゃない!」
私は唖然としてしまった。
寒いし、水で冷たいし本当に最悪だった。
私は仕方なしに、服を脱いで、服の水を絞ったのだ。
なんか、ロンバウトが驚いて見ていた。
その頃の私は恥ずかしいなんて事は微塵も思わなくて、
「さっさと脱いで絞りなさいよ」
ロンバウトに命じていたのだ。
なんかもじもじしていたロンバウトがとても可愛かったのを覚えている。
そのまま、私達は抱き合って朝が来るまでお互いを温め合ったのだ。
ロンバウトの体がとても温かくて私は寝てしまったのだった。
元気だけが取り柄の私は風邪を引かなかったけれど、確かロンバウトは風邪を引いたんだった。それで体が熱かったのだ。モーリスがもう少し来るのが遅かったらロンバウトは死んでいたかもしれなかった。その時と同じでロンは温かい……
なんかとなりがもぞもぞ動いたので、私は目を覚ました。
なんか大きな体に抱きしめられていた。
あれっ、ロンバウトが大きくなっている?
その瞬間、私ははっとして目を覚ました。
「いやあ、寝ているリーゼも可愛いね」
私を見てニヤニヤ笑っているロンバウトがいたのだ。
「きゃっ」
慌てて飛び起きる。いつの間にか私はロンバウトに抱きついて寝ていたみたいだ。
「ウーーーー」
横にいたティラちゃんが不機嫌そうに呻いていた。
「何を慌てているんだ。昔は素っ裸で抱き合った仲じゃないか?」
「子供の時と今は違うわよ」
ニヤニヤ笑って冗談を言ってくるロンバウトに私は文句を言った。
「それよりこれからどうするのよ」
朝食代わりのリンゴを食べながら私は聞いた。
黄金のリンゴはとてもジューシーで美味しかった。
いくらでも食べられる。
「来た道を覚えているか?」
「そんなの覚えている訳ないじゃない! 追っ手を撒くためにめちゃくちゃに走ったのに!」
「そうだよな。どうしようか?」
ロンバウトはしかめ面をして考え出した。
考えても道を覚えていないのならばどうしようもないわよ。
「ティラちゃん、入り口への道は判らないの?」
私が取り敢えず聞いてみると
「ギャオーーーー」
なんと、自信たっぷりにティラちゃんは頷いてくれたのだ。
「本当かよ?」
胡散臭そうにロンバウトはティラちゃんを見てくれたが、ここは信じるしかないだろう。
だって二人とも判らないのだから。
ティラちゃんは自信満々に歩き出してくれたのだ。
躊躇するロンバウトを残して私はさっさとティラちゃんについて行った。
「ちょっと待てよ」
慌ててロンバウトも追いかけてきた。
ティラちゃんは呪文を唱えないでも門を開けられるみたいで、次々に門が開いていった。
そして、二時間くらい進んだ時だ。
いきなり真っ暗な部屋に出た。
『黒の間』だ。
門が開いた先には、騎士団を指揮するモーリスがいた。
「リーゼ様!」
慌てて駆け寄ってこようとしたモーリスはティラちゃんをみて、ぎょっとした。
「ここまで案内してくれたのよ。私の友達のティラちゃんよ」
私は皆に自慢して紹介した。
「ギャオーー」
ティラちゃんが吠えてくれた。
騎士達が慌てるが私はなんでもないと手で制した。
「左様でございましたか! 良かったです。これから丁度探索に向かおうとしていたのです。おおおお、ロンさんもご無事でしたか?」
モーリスは後ろから顔を出したロンバウトを見てほっとした顔をした。それはそうだ。帝国の皇子が迷宮で失跡したなんて事になったら外交問題になる。
私達は出口に向かおうとした。
「ギャオー」
悲しそうにティラちゃんが声を上げてくれた。
「えっ、ティラちゃんは来ないの?」
私が声をかけるとティラちゃんは悲しそうに首を振ったのだ。
私は慌てて、ティラちゃんにかけよった。
ティラちゃんは首を下ろしてくれて、私に頬擦りしてくれた。
「ティラちゃん、ここまでありがとう!」
私はティラちゃんに抱きついて御礼を述べた。
「ギャオー」
ティラちゃんは悲しそうな顔をして、立ち去る私をいつまでも見送ってくれたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
次は明朝完結予定です。
今しばしお待ちください。








