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恋に破れた転生王女はツアコンを目指します  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


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帝国の影から逃げ切ったと思ったら次に迷い込んだのは『恐竜の間』で最悪最凶のティラノザウルスに襲いかかられました

「はっ、はっ、はっ、は!」

 私はその部屋に入った途端に、倒れ込んでしまった。

 さすがの私も呼吸困難になりそうだった。


「さすがにここまでは追いかけてこないだろう」

 倒れ込んでいたロンバウトがなんとか息を整えて体を起こした。


「ロン様。何故ロン様は帝国の人間なのに、帝国の影に襲われたんですか?」

 私も起き上がって尋ねてみた。


「俺を亡き者にしたいと考える者が帝国内にいるんだろう」

 ロンバウトは忌々しそうにそう答えてくれた。


 ロンバウトは帝国の第一皇子だ。そして、ロンバウトの母は既に亡くなっているはずだ。

 今の皇后はマルセル王国の王女だったアレクサンドラだ。ロンバウトにとって義母だ。

 そして現皇帝とその皇后の間には小さい第二皇子がいて、皇帝もアレクサンドラも溺愛しているという噂だった。

 帝国は我が王国よりも皇帝の力が強いから、ひょっとしてロンバウトは皇位継承権が危ないのかも。状況に追い詰められている気がした。

 だから後ろ盾を得るために大陸では帝国と並ぶ大国である我が国の王女の私に婚約を申し込んできたんだろうか?

 でも、それなら、私にあんな失礼な態度とったらいけなかったんじゃないの?


 私がロンバウトの立場だったら、こんなツアーなんかに参加なんかせずに、王宮に入り浸って、ただひたすら私のご機嫌を取っているはずだ。

 ロンバウトはこんなところにいても良いのか?

 私はまじまじとロンバウトを見た。


「何だ? 影に狙われたくらいで俺はびくともしないぞ」

 ロンバウトはとんちんかんな答えを宣言してくれたけれど……本当だろうか?

 それなら逃げずに倒して欲しかった。現に今どこにいるか既に判らなくなっているし……

 それに専制君主の帝国の皇帝に睨まれていたら、本当に皇位継承は難しいと思う。


 ひょっとして皇帝は我が国に邪魔になったロンバウトを押しつけようとしたんだろうか?

 でも、基本的に我が国はお兄様が継ぐのは既定路線だ。ロンバウトが来ても我が国の王配にはなれない。それに悪巧みが得意なお兄様がバックについたら、ロンバウトを帝位に就けようと暗躍しそうだ。

 それは皇帝も知っているだろう。だからそれだったら進んで我が国に追いやるなんてするはずはないのだ。

 ということは皇帝はまだロンバウトを跡継ぎにしようとしているが、皇后が色々暗部を使って暗躍しているって感じなんだろうか?


「リーゼ、何を悩んでいるんだ?」

「えっ、どうして、ロン様は帝国の暗部に追われているのかなと思いまして」

 私が不思議そうに聞くと

「俺のことを気に入らない者もいるのだろう。それよりも俺の件で君を巻き込んでしまってすまない」

 ロンバウトが珍しく謝ってきた。

「まあ、お客様を守るのもツアコンの仕事ですから」

 私は当然の事だとロンバウトに答えていた。


「まあ、そんなことよりも、ここはどこなんだ?」

「さあ、本当に適当に逃げてきましたからね。どこかはもう判りませんわ」

 私はそう答えながら周囲を見渡した。


 周りは真っ暗だった。

 一瞬『宇宙の間』かなと思ったが、よく見ると違う。


 空は星空だけど、宇宙空間のようにはっきりとは見えない。地上から見ているみたいだ。それに周りの暗がりには、うっそうと生い茂る木々が見えた。

 でも、何か植生が変わった気がする。

 何か違うのだ。

 この感じ、私の心の奥底で胸騒ぎがした。


「ロン様」

 私は慌てて立ち上った。

「どうした、リーゼ?」


 ロンバウトが私に習って立ち上った時だ。


 ドシン! 


 ドシン!


 今度は宇宙船の音ではなくて、大きな足音が聞こえた。

 何か、巨大なものがこちらに近付いてくる。


 そう言えば昔もこんな事があった気がした。


 何だったっけ?

 すぐには思い出せない。

 でもこれは碌でもない物なのは確実だった。


「リーゼ、これはひょっとして……」

「しーーーー!」

 私はロンバウトに音を立てないように注意した。


 ドシン! 

 ドシン!


 どんどん音は大きくなってくる。


 このまま通り過ぎて見逃して欲しい!

 私が心の底で願った時だ。


 何故か足音が私達の真横で止まったのだ。


 安心しろ。これは映像だ。本物が現れる訳はない。

 私は自分に言い聞かせたのだ。


 上の枝をかき分けて私達の頭上に巨大な禍々しいものが顔を出したのだ。

「えっ?」

 私達は唖然として固まってしまった。

 そんな馬鹿な……何故これがいる?


 それは巨大肉食獣ティラノザウルスだった。


 ギャオーーーーー

 ティラノが大声で叫んだのだ。



 その瞬間私達の呪縛が解けた。


「逃げるぞ」

 私はロンバウトに手を引かれた。

「ロン様、あれは幻ですよ」

 私はまだ余裕だった。

 それでもロンバウトは来た道に向けて駆け出したのだ。

 私はこれはあくまでも幻だと映像に過ぎないと思っていた。


 でも次の瞬間だ。


 ギャオーーーーー

 雄叫びを上げると、ディラノザウルスが画面から飛び出してきたのだ。

 それも私達に向かって一目散で。


「キャーーーー」

 私は悲鳴を上げると一気に加速した。

 ティラノザウルスは時速100キロで走ると言われていた。

 でも、私は身体強化して加速すればそれ以上のスピードが出るのだ。


「ちょっと、リーゼ」

「ロン様、急ぎますよ」

 今度はロンバウトを引っ張って来た道を帰りだしたのだ。


 ティラノザウルスの出現で私達は帝国の影に追いかけられていたのを忘れていた。





ここまで読んで頂いてありがとうございます。

恐竜に追いかけられるリーゼ達。

しかし、来た道には帝国の影が……

前門に帝国の影、後門にティラノザウルス

絶体絶命のピンチです。

続きは明日です

お楽しみに






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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

この前の作品はこちら

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n3871kh/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
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表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

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2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

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