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命の雫  作者:
第1章
6/12

第6話 剣の気配

霧の奥から、鋭い気配を感じた。

新はとっさに身をかがめる。

その瞬間、頭上をなにかが切り裂いた。

「…危なかったな。あと数センチで、首が飛んでたぞ」

その声は低く、落ち着いていて、それでいて鋭かった。霧の中から姿を現したのは、銀髪の青年だった。

黒いロングコートに、腰には長剣。

整った顔立ちの中に、何かを見透かすような目をしていた。


「誰…ですか?」

新は慎重に聞く。体勢を崩したまま、相手の剣先を

見つめる。

「俺はカイ。…お前、なんでこんな場所にいる?

この森は、冗談でも入っていい場所じゃない。」

「僕は、伝説の薬を探しています。

病気の友達を救うために。」

「薬…?まさか、"あれ"のことか」

新は小さくうなずく。それを見たカイは、しばらく

無言のまま新を見つめていた。

だが、次の瞬間、剣を納めた。


「生き残る覚悟があるなら、ついてこい。この森、

霧と獣だけじゃない。人の欲と嘘が、もっと厄介だ。」

「え…?一緒に来てくれるんですか?」

「お前が足を引っ張らなきゃな」

カイはわずかに笑った。それはほんの一瞬だけ見せた、人間らしい顔だった。


新はカイの背中を見つめながら、1歩ずつ霧の奥へ進んだ。頼れるかどうかはまだわからない。

ただひとつだけ確かなのは、この森には、新ひとりでは、越えられない危険が待っているということを。


(第1章・完)


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