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日記(クラウディア伯爵視点)

 5月22日


 ティファニーがいなくなった。

 誘拐であるならば、あの醜女だ、金銭が目的だろうから、クラウディア家に脅迫文の一通くらい届いても良さそうである。


 と、言うことは、恐らく誘拐などではなく、自らの顔面を嘆いて自害したのではないだろうか。

 他にどんな理由が考えられるだろうか。私には思いつかない。

 だが、家のどこにも遺書などはなく、ティファニーの遺体が出てくる気配もない。

 ならばなんだというのだ。

 頭がくらくらする。


 こう言ってはなんだが、死んだなら死んだで肩の荷が一つ降りた気持ちになる。

 自分にとっては実の娘だし、可愛いに決まっている。

 ただ、きっと貰い手がいないだろうと思うと、あの娘の将来を思うとため息しか出ないのだ。

 クラウディア家に男児はいないので、ティファニーを次期伯爵に据えたとしても、結婚しないのであれば、結局その後が続かない。

 マリアンヌに男児が生まれれば跡を継がせるかとも考えたけれど、先日王太子殿下に求婚されたと聞いた。

 私は飛び上がるほど喜んだが、妻が断固として首を縦に振らない。あれにとってはかけがえのない自分の腹を痛めて産んだ娘。それを手放したくないのだろうか。

 貴族の女に産まれた以上、家門を守る為に嫁ぐことは当たり前であるのだから、何をそこまで嫌がるのか。

 まあ、確かにこれから王妃教育を始めるとしてもかなり大変だろうことは目に見えてわかる。

 それに、男児が何人も生まれればその内の一人をクラウディア家に継がせることもできようが、それまでどんな気持ちで待てと言うのだ。

 しかし、マリアンヌはアイゼン王太子殿下を慕っていたらしいし、こちらも次期国母を輩出した家門となれば格も上がろうというものだ。

 ならば、やはりここは喜んで嫁がせてやるべきだろう。


 今夜あたり、妻の好きな生ハムとチーズで50年もののワインでも開ければきっと良い返答が聞けるはずだ。





 本日分、追記



 なんと言うことだ。


 私は妻の秘密を知ってしまった。まさか●●●●●●●●(インクの滲みにより解読不能)

 どうか帰ってきておくれ、ティファニー。

 もう、この家を守れるのはお前だけだ。お前が無事で生きていてくれることが頼みの綱だ。

 こんなことが知れたら、世間は我々を許さないだろう。なんということをしてくれたんだ、デビアント…。

 きっといつかあいつの罪は白日の元に晒される。

 その時、この家の者は???????(手が震えたのか、字が歪んでおり解読不能)

 私はその時まで口を噤むしかないだろう。

 これから、私はあいつの視線に怯えながら暮らしていかなければならないのだろうか。

 そんなものは耐えられない。

 だが、離縁するにも理由を告げれば、私が秘密を知ってしまったことがあいつに知れる。

 その時、あいつは私を許すだろうか?


 ああ、どうか無事でいてくれ、ティファニー。


(以下、破損により内容不明)

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