表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ストーカー三昧・浪曲、小話、落語  作者: 多谷昇太
講談(1)お力
29/81

お力は樋口一葉の写し絵

(観客の拍手に)いやー、どうもどうもどうも。盛大な拍手をありがとうございます。しかし我ながら本当にいい声だ。榎本美佐江も真っつぁおの歌謡講釈師、わたくしであることです。ねえ?ん?何?…「いいぞお!おか…」わっ、また。シっ、黙って。お客さん、あんたさっきからうるさいな。あんたまさかストーカーどもの回し者じゃないでしょうね。ホントにもう…。ま、いいですけどね(空咳)。えー、それでそのお力ですが、他の酌婦と違ってなぜ彼女ばかりがこうも鬱屈が強いかですが、それは〝自分への思い入れが強すぎたからだ〟と私は見ます。そう云う分けは、お力の姿に作者・樋口一葉が自己投射をしていると見るからです。一葉ほど自分の心の在り方と人生との一致に意を尽くした作家は滅多におりません。人と云うものはは斯くあるべし、人生は斯くあるべしを常に念頭に置いて、自らの作品もまた、さ(そのように)あるべしと…そう〝したかった〟分けです。然るに!(張り扇一擲)一葉の貧窮の人生は周知の通りで、一銭一円の金の為に彼女は日々どれほど心を悩ませたことでしょうか。それは一葉が詠んだ短歌「とにかくも超えるを見ましうつそみの世わたる橋や夢の浮き橋」に痛いほど表れております。どうかしますと、久佐賀義孝なる人物に彼女一葉は身を売ったと、そう後世の評論家たちに勘繰られてさえおります。えー、ですから、この「にごりえ」の主人公お力こそは作者・樋口一葉が自己投射をしている姿なのであり、謂わば樋口一葉そのものなのです。一葉がどれほど高尚な作品、小説や和歌を現わそうとしても、どうしても、そこには儘ならない自らの困窮した実生活が、それに懊悩する心根が出てしまいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ