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明日もルォレンのためにパンを盗ってこよう、ミランは毎夜、そう思いながら眠りに就いた。


が、そんなある日。


身も心もギリギリのそんな生活に我慢できなくなり、家の子どもとの大喧嘩をきっかけに、とうとうルォレンが逃げ出してしまった。


だが、その時はまだ、ミランとルォレンは一緒だった。


ルォレンが一家から少し距離を置いた森に自生する大木の根元に、藁を敷いて寝泊まりしているのを、ミランは知っている。


ミランは毎日、市場や畑で食料を盗ってくると、今日のようにルォレンの元にやってきて、二人で分け合って食べた。


(ひとりじゃない。いつまでもルォレンと一緒にいる……)


そう考えるだけで、ミランの心は温まった。


「さあ、食べて」


ミランが促すが、ルォレンは手に乗せた丸パンをじっと見つめている。すると、何かに気づいたように、目を丸くしミランを見た。


「これ、……血が、」


丸パンに、赤い染みがついていた。


「あ、ちょっと、転んじゃって、……でも大丈夫。嫌だったら、ここんとこ千切って食べれば」


ミランが手を伸ばすと、ルォレンが丸パンを持っていた手を引いた。


「……傷は大丈夫なの?」


ルォレンの優しい声に、ミランは慌てて言った。


「大丈夫大丈夫、私が頑丈なの知ってるでしょ?」


「……ミラン、いつもありがとう」


その弱々しい笑顔。


ルォレンは丸パンを半分に割ると、片方をミランへと差し出し、もう片方を頬張った。


✳︎✳︎✳︎


「おい小僧、よくもオレ様のクツを汚してくれたな」


足で蹴飛ばされた腹が、破裂しそうなくらい痛かった。


ルォレンが養父母の家を出て、森で一人暮らしを始めてから、半年が経った頃だった。


ミランは養父母の家で働く間に食料を盗んできては、ルォレンの元へと運んでくれる。そんなミラン任せの生活を情けなく思い、自分も食べ物を盗んできてミランを喜ばせたい、ミランの腹を満たしたい、そう思っていた。


けれど、自分はミランより運動能力も劣るし、盗みの才能もない。


(ミランは何でもできてカッコいいな)


思いながら、市場をうろうろとうろつく。


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