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(宿屋も危ないだろうし、今夜はここで過ごさせて貰おうっと)


シュワルトは納屋の中、かき集めた藁の上で、竜の姿のまま横たわった。


パン屋で時間を潰していた場面が頭をよぎる。


計画では、ミランがリの国国主リンドバルクの妹君を奪還すると同時に、保管部屋の真上にあたるパン屋の店先、いわゆる地上で待機している自分が地面に大穴を開け、そこから妹君を救出する手立てだった。


実はあまり広くは知れ渡ってはいないが、竜が放つ雄叫びは、その波動で岩をも砕く力があり、シュワルトもその雄叫びの力にはおおいに自信があった。


小高い山に穴を開けたこともある。それを地面に向かわせれば、容易に地下水路の奥にある地下室の天井に穴を開けられるだろうと、踏んだのだ。


耳の良いモニと自分とがお互いに合図を出すことができれば、居場所の把握もできる。


大胆な計画ではあったが、すぐに自分がみなを乗せて逃げれば、意表を突かれたメイファンの追っ手たちもすぐには動けまい。


穴さえ開けば、万が一ミランやモニが逃げ遅れても最悪、翼人である妹君はその翼で難なく逃げることができるだろう。


そこまで算段をしていたというのに、肝心のモニが気絶させられてしまい、合図を受け損ねてしまった。


そして、ミランもまた。


「くっそー、ミランの居場所は声でだいたいわかっていたけど……」


そして待機中、パン屋で可愛らしい店番の女の子と話しているうちに、盗賊の一味、屈強な男たちに周りを囲まれているのに気づかなかった。


まさか、計画自体がバレているとは思いも寄らなかったからだ。


「まんまとエサに食らいついてしまったってわけだ」

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