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「なんだ? どうした?」


「偵察に来た時と様子が違う」


「どういうことだ?」


ミランが先を促し、モニが慌てて答える。


「この前は、彼女の声がしていたんだ。それに翼の音も」


「部屋を移動したということか」


「ううん、わからない」


その時、廊下の反対側の奥で、ゆっくりとドアを開ける微かな音が響いた。もちろんミランには聞こえなかったが、モニの大きな耳がその音をとらえていた。


「誰か来る」


「わかった、とりあえずここに入ってやり過ごそう」


ドアを開けて部屋へと入る。ミランはドアを後ろ手に閉めると、注意深く周りを見回した。


誰もいない。


壁側には背丈を大きく上回るほどの大きなクローゼットが一つあり、扉が片方開いていて、中に並べられているドレスが見えた。どれも豪華なものばかりだ。


そして、天蓋付きのベッド。


天井から吊るした大きな布が中を隠している。


ミランが腰に差した短刀を抜く。ベッドに近づいていくと、そっとその短刀で布を持ち上げた。


短刀が何かにあたり、カランと音を立てた。


「⁉︎」


ミランはおもむろに短刀を振り上げ、剣先で布を縦に一直線に引き裂いた。そして、裂かれた布をまくり上げる。


「……これはどういうことだっっ⁉︎」


ミランが抑えていた声を少しだけ張り上げた。


中にはベッドに沿うように配置された、鉄格子。


そして、さらにその中には。


「……あなたが、リの国、国主の妹君かっっ」


その女の姿。


真っ直ぐで艶のある黒髪は腰まで長く、着物の和柄をところどころ隠している。栗色の瞳は潤んでいるが真っ赤に充血し、その溜めた涙が流れた跡が頬に幾筋もついていた。


「どうして、こんな……」


鉄製の格子は見るからに頑丈で、逃げようとして逃げられるものでもない。それなのに、女は腕を後ろ手に縛られて、足元も二重に縛られていた。


白い布のようなもので、口元も塞がれている。


「ミランっっ」


モニの叫び声がして、後ろを振り返る。ミランはその切迫したモニの声で、短刀を胸の前にかざして、戦闘態勢に入った。


「ようやく、会えた」


野太い声が響いた。

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