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「さあ、行くぞ。頼んだぞ、二人とも」


「わかったよ」


「任せてっ」


シュワルトは大きな荷物を抱えて宿屋を出、ミランとモニは人目につかないマンホールの蓋を開けて中へ入ると、下水道を歩いていった。


「モニ、お前の頭の中はどうなっているのだ」


地下迷路の複雑さに辟易しながら、ミランが歩を進めていく。胸ポケットから出たモニが駆け下りて、ミランの前をチョロチョロ歩いて先導していく。迷いなく駆けていく後ろ姿を追いかけるようにミランは足を前へ前へと出した。


「結構、音でも覚えているんだ」


水の流れる方向や水滴が落ちる音などを捉えて記憶しているらしい。時々立ち止まっては、その大きな耳をピクピクと揺らした。


そして、天井の低い土管に入る。ミランはほふく前進するように頭を下げた。


「この先が盗品の保管部屋だよ」


声を落としたモニが振り返って言う。


鉄製の格子は、鉄を錆びつかせてやわらかく溶かす薬品を使って、直ぐに外すことができた。


「盗賊にとっては、これはもはや必需品だな」


液体をかけると、ミランはビンの蓋を閉め、そして腰に下げた麻袋へと入れた。


「部屋には誰もいないけど、廊下の外で話をしているヤツが二人」


「了解」


ぐにゃりと曲がった鉄製の格子を、音をさせないように外す。そこから身体を這い上がらせると、ミランは身体の曲線が艶かしい女性の彫刻の台座の裏へと回った。


「モニ、部屋から出るタイミングは任せたぞ」


ミランが台座から顔を出して言う。


ドアの隣にある燭台と壁の間に身を潜めると、モニは壁越しに聞こえてくる声に神経を集中した。足音が遠ざかり、話し声が止む。廊下に静寂が訪れ、モニはミランへと合図を送った。


そろそろと音を立てないよう廊下へと出る。ミランの足元をさっと通り抜けると、モニは廊下の奥にある部屋へと真っ直ぐに駆けた。


「ミラン、こっち‼︎」


足音を消して、ミランも走る。


地下迷路を行く時に邪魔になるだろうと、いつも腰に下げている大刀もシュワルトに預けてある。


音もなく部屋のドアへと辿り着けたのは、ミランの身の軽さにも理由があるのだろう。


「ここか」


「うん」


「中に誰かいるのか?」


「話し声はしないから、誰もいないと思うけど……」


モニのひそめた声が不安そうに揺れた。


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