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「シュワルト、」


急かされて苦笑するしかない。


「僕が入った盗賊団は、メイファンの末端の小さな組織だったけど、上の連中はメイファンに出入りしているみたいで、色々と話は聞けたよ」


「そうか。で?」


「メイファン首領の黒蛇白蛇についてなんだけど、」


「しっっ」


その時、ガリガリと小さな音がして、ミランが口元で人差し指を立てた。


「モニが帰ってきた」


ミランがシュワルトの大きな身体の横をくぐり抜けると、ドアを数センチだけ開けた。その隙間から、モニが小走りで中に入ってきて、竜の姿のシュワルトの身体を駆け上り、そして肩に乗った。


「はあはああ、ただいまあ。ってか、シュワルトなんでこんな姿なの。狭いよっっ」


モニの自慢の尻尾が、黒く煤けているのを見て、ミランが声を掛ける。


「モニ、おかえり。ご苦労だったな」


「うわっっっ、モニ、なんか臭いっっ」


「仕方がないだろ、さっきまでドブの中だったんだから」


「先に身体を洗うといい。シュワルト、お前もその香水臭いのをなんとかしろ」


何種類もの香水の匂いと地下下水の臭いが混ざって、部屋の中は酷い空気だ。


シュワルトは直ぐに人間型に戻ると、モニを肩に乗せたまま「風呂に入ってくる」と言って、シャワー室へと向かう。


ミランが窓を開ける姿を横目で見ながら、シュワルトはドアを後ろ手に閉めた。


✳︎✳︎✳︎


「なんだって?」


ミランが飲みかけのコーヒーが入ったマグカップを置いた。


「本当だよ。白蛇はもう死んでるんだって。今はメイファンの全権を黒蛇が握っているらしいよ」


シュワルトもたっぷりとミルクを入れたコーヒーを、ぐびっと飲んだ。


「まあ、白蛇は実際、相当な年寄りだったようだからな」


「そうだけど、黒蛇が手を下したんじゃないかって、噂されてる」


「…………」


「ボクもちょっと小耳に挟んだんだけど……」


モニが、ナッツの欠片をボロボロと零しながら、言った。


「黒蛇ってやつは、元々よそ者だったらしくってね。白蛇に目をかけられて連れてこられたらしいんだけど、折り合いは悪かったって」

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