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目深に被った毛糸の帽子に眼鏡。町の民が着るような、粗末な上下。もちろん、ミランも町娘の格好ではあったが。


「いやあ、僕ってばどういう格好をしても目立っちゃうからなあ。とにかく、僕っていう存在を消さなくちゃって思って。これでもかっていうくらい露出を少なくする努力をしました」


「地味だな」


「地味だね」


いつのまにか、胸ポケットから顔だけを出しているモニも参加する。


ミランとモニの共鳴するような言葉に、シュワルトは満足そうに腕組みをして頷いた。


「それでいいんだ。それを目指していたからね。うんうん、成功だ」


「それにしても、依頼品はどこにあるの?」


よしよし俺天才と満足げなシュワルトを無視して、モニが会話を本題へと戻す。モニはそのまま胸ポケットから這い出ると、ミランがかぶるフードを軽くよけてミランの肩に乗った。


「地下迷路の先だ」


「迷路だって⁉︎」


ミランの耳元の近くで、モニが飛び上がる。


「ああ、地下にはびこる下水道を進んでいく」


「えーーー、嫌だよ、そんな陰気臭いところ。行きたくないなあ」


シュワルトが乗り気でない声を上げる。


「シュワルト、お前は地上で街の様子を見ていて欲しい」


「やっった‼︎ 了解だよ。大人しく待機してるね」


「ミラン一人で大丈夫なの?」


「モニ、お前も一緒に来てくれるだろ?」


「もちろん」


「まずは街の様子、そして地下迷路の確認をしてから対策を練る。シュワルト、悪いが街に詳しい情報屋を探してきてくれ」


「リョーカイ」


「モニは、地下迷路の様子を見てきてくれ。私は飲み屋で情報を得てくる」


「はいー」


「モニ、迷うなよ」


「ねえ、ボクを誰だと思っているんだ?」


モニが襟を正す素振りをする。すかさずシュワルトが感嘆の声を上げた。


「あ、そのネタ見たことある‼︎」



「うわあ、地下道っていうのは、なんでこんなに臭いし汚いんだ」


モニが、地下道を流れる下水を横目で見ながら、進んでいく。自分の身体の臭いを嗅ぎながら、モニは独りごちた。


「身体中、ドブ臭いよう。ああ、あったかいお風呂に飛び込みたい」


時々、大きな耳をそばだてたり、これまた大きな目を見開いたりしながら、モニは迷路を進んでいった。


所々で、上につながる梯子が見える。一定の距離にマンホールがあるようで、出入り口は一つではないと知れた。


ただ。


「これは絶対に迷っちまうぞ」

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