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さらに会場がざわっとした。この場の秩序を乱すような女が、リンドバルクの招待客だとわかったからだ。


ミランが、リンドバルクを見据える。


そんなミランの態度も気に入らないのだろう、さらにあちこちで、ヒソヒソ話が上がった。


「なんですかね、あれは」


「礼儀も何も、あったもんじゃない」


こそ、と話す気もないのだろう、宴席中に非難の声が響き渡る。


それを一喝するように、リンドバルクは声を上げた。


「ははは、気に入ったぞ。まさか、ドレス姿に刀を提げてくるとはな」


会場は、しんと波打ったように静かになった。


絹の滑らかな生地一枚で作られたドレスが、ミランの細っそりとしたしなやかな身体のラインを浮かび上がらせる。その細い腰に施された豪華な刺繍のデザインを、まるで邪魔者扱いするかのようにさげた大刀が、カチャと音を立てて、部屋に響いた。


「……だが、それでも美しい」


リンドバルクが、目を細めて言った。


ミランがそれを無視して、女官に案内された場所に座ると、やはりあちらこちらからひそめた声が聞こえてくる。


リンドバルクから、ふたとこほど離れた場所で、ミランは正座をして座った。真ん中に座するリンドバルクからはよく見え、そして気軽に話しかけることのできる距離だ。


その二人の距離からも、リンドバルクがミランを特別に目をかけていることがわかり、ひそひそ話はさらに盛り上がった。


ミランの後ろについてきたシュワルトが、ミランの背後に回り腰を落ち着ける。


「あれが依頼主?」


後ろからシュワルトが囁くように訊いてくる。


「ああ、そうだ」


「うわ、なんかモテそうでムカつくな。僕のライバルと言っても過言ではない」


さも嫌そうに勝手にライバル認定をしているシュワルトを放っておき、ミランは周囲に目を配った。


(気になる輩はいないようだが、)


料理と酒が振舞われ始める。


ミランはそれらを受け取ると、自分の前に置いた。


その時。


一つの視線を感じた。

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