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ミランが実のない会話を終わらせようとすると、シュワルトが寝室へと入ってきて、箱から靴を取り出した。宴席向けの、刺繍入りの平靴だ。


箱の中に一緒に入っていた、かかとの高い靴を、ミランへと投げる。ミランはそれを受け取ると、さも嫌そうに眉を寄せて、頬を歪めた。


「こんな動きにくい窮屈な靴がこの世に存在するとはな」


「ミラン、ちゃんとそれも履くんだぞ。モニ、続きは宴会でな」


「シュワルトも梅の酒飲む?」


「僕は酒は飲まない。飲酒運転はしない主義なんだ」


「運転? 今日はどこにも出かけないだろ?」


「バカだな。僕が飛ぶのは何も空だけじゃない」


靴を履き襟元を正すと、シュワルトはびしっと立った。


「今夜は僕、帰らないかもしれないからよろしく」


「どうでもいいが、呼んだら直ぐに戻れよ」


ミランはその様子を呆れて見ながら、右手をぱっぱと振った。そしてモニが、ふわふわの尻尾を振ると、ミランの肩の上で、落ち着きなく右へ左へとうろうろする。


「え、なに? どうして帰ってこないの? シュワルト、どこ行くの?」


疑問で頭をいっぱいにしているモニを横目に、ミランは腰に差している大刀と短剣を抜き、サイドテーブルの上に置いた。


ベッドに寝転ぶと、両腕を頭の下に差し入れて目を瞑る。


「ミラン、寝ちゃうの?」


モニが、耳元で問う。


「宴席まではまだ時間があるだろう。少し眠る」


実は今日一日、ミランは計画に必要な物を買いに町中を歩き回っていた。


心地よい疲れが、直ぐにミランを眠りに誘った。



「何ともまあ」


「なんでしょ、あれは」


「不躾にもほどがある」


ざわっと、騒々しくなった。


リンドバルクが開いた宴席には、大勢の来賓が参加していた。隣国の要職者やその息子や娘たちが、床に敷いた分厚い絨毯の上に、ずらりと座っている。


その後ろには従者や女官が立っており、料理を取ったり団扇で扇いだりと主人の世話をしている光景があった。


ミランは、宴席に入ると、直ぐにリンドバルクを見た。


中央に座っているリンドバルクの両脇には、やはり双子の用心棒が剣を腰に差している。


目が合うと、リンドバルクは大声で言った。


「おお、やはり俺の見立てに狂いはなかったな。ミラン、とても美しいぞ」

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