表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/18

【8話】怪しい影の正体

 背後から迫った人影に、サトミは一瞬ゾッとした。

 前世で起こった事とはいえ、不審者に刺されたトラウマはしっかりと身体に刻み込まれていたのだ。

 パッと距離をとるように身を引きながら振り返り、顔を上げた。


 「おっと、ごめんね。驚かせちゃったかな。」


 立っていたのは、人の良さそうな雰囲気の男だった。

 大丈夫です、と青ざめた顔を伏せながら伝えた。


 「もしかして、君たちが探してるのはこのトランクじゃないかと思ってね。」


 そう言った男の手には、皮のベルトが付いた茶色のトランクが2つあった。


 「どうしてあなたがそれを…?」


 ここまで黙っていたエミリアが口を開いた。

 私に話しかけてくれた時とは違い、随分恐る恐る、という話し方だ。


 「ここの席に無防備に置かれているところを見つけてね。」


 男によると、自分の席に戻ってくると、隣の席にそれが放置されており、しばらくしてもトランクの主人が戻ってこないため、盗まれることを心配して預かっていたらしい。

 見たところ学生、それも新入生ばかりの車内でも物騒な事が懸念されるのだな、と考えた。


 「ありがとう、ちょっと驚いちゃったけど。私はサトミ。同じ学園の生徒になるみたいね、私たち。」


 前世のコスプレイベントで培った営業スマイル、別名レディーキラー(本人はそう呼ばれていることを知らなかったが、そのイケメン風の笑顔は、密かにそう呼ばれていたらしい)で名乗った。

 続けてエミリアもごめんね、と付け足して名乗った。


 「おっと、これは失礼。」


 男は両手に持っていたトランクを左手に持ち変え、重そうに片手で二つを持った。


 「僕はアレン・エヴァンズ。」


 そう言って右手を差し出してきた。トランクを持ち替えたのは握手のためらしかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ