【4話】出会い
神様に願ったのは"普通の女の子"として転生することだった。それがまさか、こんな美少女に生まれ変わるなんて......。
鏡を見ているうち、段々と驚きよりも喜びが強くなってきた。
雪のように溶けてしまいそうなほど透明感がある肌、クリッとした丸くて大きい目、ぷっくりとした丸みのある頬、艶やかな黒のロングヘア......。
全てが私の好みで構成された、完璧な美少女。
心を落ち着けて考えてみると、前世であれだけ不本意な最期を迎えたのだ。これは神様からの贈り物に違いない。
ありがとう神様......このビジュアルで今世を謳歌します。
感動に浸っていたが、ぐぅぅというお腹の音で我に帰った。
ご飯はどこで食べられるんだろう。
周囲の席は、ほとんど空席になっている。
車両前方の柱に掛けられた時計は、12時半を指していた。
お昼時であることから推測すると、列車のどこかに食堂車があり、他の乗客はそこに居るのかもしれない。
未知の世界のご飯に胸を高鳴らせ、前の車両へと進んだ。
2つ先の車両の前に来ると、扉には
《レストラン 営業中》
と書かれたプレートが吊り下げられている。
扉を引くと鈴の音がした。腰にエプロンを巻きつけた、ウエイトレスらしき男の子が駆け寄ってきた。
「ただ今大変混み合っておりますので、他のお客様と相席でもよろしいでしょうか?」
大丈夫です、と答えると奥のテーブル席へ案内された。
アンティーク調のテーブルに、銀の燭台が映えている。この車両だけ電球の色が違うことから、(食べ物が美味しそうに見えるよう暖色の電球が使用されているのだろう)細部まで拘ってデザインされたインテリアであることが伺える。
統一された上品な雰囲気に感動していると、車両の奥の方にある2人掛けテーブル名前で、ウエイトレスさんが足を止めた。
「こちらのテーブルになります。ご注文がお決まりになられましたら、ベルでお呼びください。」
言い終えると、ベルが鳴っているテーブルへと足早に向かってしまった。
先に座っていた少女は、私と同じくらいの年齢に見えた。