【3話】目覚めると
目が覚めると、私は木製のベンチに腰掛けていた。座席はガタンゴトンと揺れており、窓からは街が流れていく。
最後の記憶は、天使とどこからともない声に導かれ、白い大きな扉を開けたところだ。
その後…。どうしたっけ………?
まずは現状把握と、あたりを見回した。木製の座席に、車窓から見える景色の移ろい。そしてガタンゴトンという音。
どうやらここは列車の中のようだ。
ふと、自分が何かを握っていることに気付き、手のひらに目をやる。
『王都学園行き急行』
切符?私はこの"王都学園"に向かっているのだろうか。
列車は駅を通り過ぎるばかりで、一向に止まる様子はない。
急行だと書いてあるし、"王都学園"まで止まらないのかもしれないな、と考えた。
それにしても小さな手だなぁ、と切符を握る自分の手を見つめている折、ふと気になった。
私は今、どんな姿形をしているのだろう。
手の大きさがパッと見て分かるほどに変わっているのだ。ビジュアル全体も、大幅な変更が加えられているかもしれない。
期待と不安を半々に、周囲を見回すと廊下の端に掛けられた大きな全身鏡が目に入った。
足早に鏡の前まで来ると、その場で立ち尽くした。
「......これが............私......?」
言葉を失った。
そこに映っていたのは、小柄な超絶美少女だったのだ。
「うっ、痛っっ。」
ズキッと頭が痛んだかと思うと、記憶らしきものが流れ込んできた。
そうだ、この美少女は私がさっき作成したアバターだ………!