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終末世界ASMR少女 ~ さいはての地で少女はひとりでひとつの音を録る。 ~

作者:しけた。
その音は人を救う。

『大流行』により崩壊に近づいた世界。
生き残った人びとは汚染された地上を捨て、地下に新天地を求めた。
だが地下の隔離され、管理閉鎖された社会の中で、人びとは坂道を転げ落ちるように急速に病んでいった。
人間関係の破綻、暴力、犯罪発生率の急上昇。
そして自殺者の爆発的増加。

厳罰、投薬、カウンセリング、遺伝子治療…。
あらゆる方法で社会はその『治療方法』を探したが、どれも目立った効果は挙げられず、ただ時だけが無為にすぎていった。
気がつけば人口は最盛期の十分の一にまで下がり、社会全体を覆った憂鬱の闇は、なおそれを濃くしていた。

そんな中で、もっとも効果があると噂されたのが、『音』だった。
失われた世界、かつて暮らし生きていた地上の『音』。
人びとはそれに救いを求めた。

地下を捨て、荒廃し朽ち果てた地上に出た者たちがいた。
その者たちは『音師』と呼ばれ、汚染の危険も顧みず、様様な音を録り、それを地下で待つ人びとの耳に届けた。

これは、そんなひとりの音師の少女の日常を綴った物語。
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