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7章:オレにとってはぬるキャン△(1)

  ■ 7章 ■


「来週末の中高合同リーダーキャンプだが、うちのクラスからは二人も代表が選ばれたぞ」


 ホームルームで担任の草野によるドヤ顔発表が行われた。

 別にお前が何かしたわけじゃないだろ。


「白鳥と渡辺の2人だ。おめでとう」


 教室からは拍手とともに「いーなー、タダでキャンプか」「あの2人なら納得だよな」などと声が上がっている。

 生徒達からは人気のイベントらしい。

 リーダー研修でキャンプと言えば、ブラックリーマン時代に強制参加させられたのを思い出す。

 夜を徹してのオリエンテーリング的な地獄の研修な上に、自費での土日参加である。もちろん、休日手当なんて出るはずがない。

 というか、金曜夜は会社に泊まり、土曜朝に研修へ直行。翌日戻ってきてそのまま、日曜はサービス出勤という地獄コンボだった。

 ……いらんことを思い出してしまった。 


 そういえば、前の人生で由依はこのキャンプに選抜されていなかった。

 事前に通達がいった時点で断ったという噂が流れていたが、本当のところはわからない。

 そもそも由依の場合、社会に出た際のリーダーとしての資質は高そうだが、高校生活におけるリーダーという感じではない。

 高嶺の花、孤高にして至高というイメージだからだ。

 委員長としては、渡辺のようにフレンドリーなキャラが好まれるのは当然と言えば当然である。


「それじゃあ二人とも、アシスタントを選んでくれ」


 キャンプに選抜されたリーダーは、アシスタントを一人指名することができる。

 優秀な片腕を持つことも、リーダーの資質だとかなんとか。

 ここで決めるのか?

 そういうのって裏でやるもんだろ。

 この担任は、みんなの前で選ばれる方が、選ばれた側も目立って嬉しいだろとか考えていそうだ。


「他のクラスから選んでもいいが、同じクラスどうしのペアが優先だからな」


 つまり、クラス内で決めろということだ。

 教員どうしのネゴがめんどくさいなど、理由はいくつかあるのだろう。

 こいつの場合、自分のクラスからキャンプに四人も送り込めるとか考えてそうだが。


「それじゃあね、難波君がいいかな」


 意外にも渡辺が指名したのはオレだった。

 いや、意外ではないか。

 渡辺の意識は、オレではなく由依に向いている。


 渡辺狙いの来栖を筆頭に、ほぼ全ての男子がこちらを睨んでいるが、まあほっとこう。


「む……私も難波君を指名します」


 少し口をへの字にした由依の発言には「やっぱりな」という呟きとともに、「なんであいつばっかり」という怨嗟の声が漏れ聞こえてくる。


「おいおい、モテモテだな。羨ましいぞ。俺も女子高生にちやほやされたいぜ」


 この担任は、そんなことを言っているからモテないんだと思うが。というか、いつかやらかして首になる気がするぞ。

 少なくとも、オレの在校中にはそんなイベントはなかったと記憶しているが。


「しょうがないなあ。じゃあ譲ってあげるよ」


 話し合いをするまでもなく、先に折れたのは渡辺だ。

 こいつ、それが言いたかっただけだろ。


「ありがとう……」


 由依もそれがわかっているのか、やや不満げだが、すぐにオレに笑顔を向けた。

 その仕草がまた可愛く、男子達のオレに対する怒りゲージがマックスになるのを感じる。


「もう少し揉めても面白かったんだがな」


 ほんとどうしょうもねえなこの担任!


「渡辺はどうするんだ?」

「そうですね……」


 担任の問いに渡辺が選んだのは、今度こそ意外な人物だった。



7章開幕です!

ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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