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6章:オレの義妹が戦い続ける必要なんてない(11)

「ガアアア!」


 合成鬼が拳に魔力を集中させつつ跳び上がった。

 その巨大な拳をハンマーのように振り下ろしてくる。

 いくら高い攻撃力を持っていても、当たらなければどうということはない。

 そのことを学習する頭はないようだ。

 人間や低鬼程度であれば、そのスピードとパワーだけで圧倒できるだろうが、オレには通用しない。


 合成鬼の拳を懐に飛び込むことで避けたオレは、下がったその顎にジャンプアッパーをぶちかます。

 数メートル浮いた合成鬼を結界で囲み、空中で動きを封じた。


 合成鬼は結界を内側から殴りつけるが、そんなことではビクともしない。

 オレは結界内で熱魔法を発動、合成鬼の肉体を焼き尽くしていく。


「魔力が尽きるまで、そのまま燃えていろ」


『バカめ。人間ごときの魔力による炎など、いくらでも再生する』


 焼かれては再生を繰り返す合成鬼だが、徐々にその肉体は小さくなっていく。


『バカな……合成鬼の魔力が尽きるほどの魔法を使える人間などいるはずが……っ!』


 スピーカーからは焦りの声が聞こえてくる。


 やがて合成鬼は灰も残さず焼き尽くされた。


 地面に人一人が通れるほどの円形の穴が空き、舞台の奈落のように長がせりあがってきた。

 その顔は激しい怒りに歪んでいる。


「やってくれたな。ワシの最高傑作を……」

「自分からけしかけたくせに。双葉を解放する気になったか?」

「そんな約束をした覚えなどないわ」


 これまでの出来事を見た双葉が『組織』に残りたがるとは思えない。

 だが『組織』に付け狙われ続けるのも面倒だ。

 向こうから諦めさせたいところだが、この調子じゃ無理そうだな。

 これ以上オレに逆らえば被害が増えるだけだとわかっているはずだが、そこまで双葉に価値を見いだしているのか?

 沽券だけの問題とも思えないのだが。


「もう貴様のことを人間とは思わん! 化物め!」

「そういうことは、人間らしい扱いをしてから言うんだな」

「黙れ、小僧が! ワシ自らが相手をしてやる!」


 そう言った長の額に、ぎょろりと目が開いた。


「まさか……自分にヴァリアントを合成したのか」


 そんなハイリスクな真似をよくやる。


「長が下の者より弱いというわけにもいくまい? 反抗する部下が出るならば、そいつらより強くなればよいのが道理だ」

「ダメな上司の典型だな。パワハラで訴えられろ」

「パワ……? 若い者の使う言葉はようわからんな。言葉の乱れが嘆かわしい」

「そのうちわかるよ。あんたがそれまで生きていればだがな」

「バカにしおって……だが、その減らず口もここまでだ」

「オレの戦いを見てもまだ、そんなことが言える胆力はかなりのもんだな」

「貴様が強いかどうかなど関係がないのだよ。なぜなら、ワシは『ここにはいない』からな」


 長がそう言った瞬間、オレの視界から長の姿がかき消えた。


 スピード? 光学迷彩?

 いや、そんなちゃちなものじゃない。

 かといって瞬間移動でもない。


「お兄ちゃん!」


 双葉の叫び声が聞こえた瞬間、オレの脇腹に合口が深々と刺さっていた。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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