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6章:オレの義妹が戦い続ける必要なんてない(10)

 そのバケモノは、人型と言っても、全身の筋肉隆々なサイクロプスのような体型だった。

 何より特徴的なのは……。


「やりやがったな」

『何をかね?』


 どこかに備え付けられたスピーカーから長の声が聞こえてくる。

 カメラでこちらの様子も見ているのだろう。


「ヴァリアントを合成しまくりやがったな。ざっと100体ってところか……しかも、制御には人間を使ってる」

『ほう……一目で見抜くとは流石だな。だが、この合成鬼に勝てるかどうかは別問題だ』


 しかも弱点になるであろう人間の頭部は、ヤツの体内を常に移動しているらしい。

 ヴァリアントにこういった術式が得意なヤツでもいるのだろうか。

 魔族にも国中の人間を合成して肉塊の巨人に変えたヤツがいたが、その類いだろう。


 100体と言っても、合成に使われている殆どは低鬼レベルだ。

 だが、単純な魔力量という意味では、人間を遙かに凌ぐだろう。


「グオオオオオオォ……」


 合成鬼は額に角を生やし、そこに魔力を集中した。

 その角だけでも、成人男性の身長くらいはあるサイズだ。

 チャージが早い!


「ガアアッ!!」


 合成鬼が吠えると同時に、直径3メートルほどのビーム状の魔力砲がオレに向かって放たれた。

 とりあえず……避ける!


 オレは魔力砲の横を駆け抜け、合成鬼の首を切り落した。

 しかし、合成鬼はそんなことなど微塵も気にせず、太い腕を振り回してきた。

 そうなるよな!

 オレはその腕を蹴って、距離を取る。


 着地したオレに魔力砲が迫る!

 なんだと!?

 後ろの壁に反射した!?

 魔力砲を掌で受け止めながら、壁にかかっている魔法を解析する。

 硬度上昇に加えて、特定の魔力を反射する術式がかけられている。

 合成鬼とのコンビネーションで、侵入者を撃退するためのしかけの一つというわけか。

 この基地は、ヴァリアントに関する技術の粋が集められているのだろう。


 頭部を再生させた合成鬼は、転がっている頭部に腕を伸ばし、吸収した。

 作りからして予想通りだが、部位の区分けはなしか。


 合成鬼は拳に魔力をため、オレに向かって振り下ろしてきた。

 なんなく避けたオレだが、叩きつけられた魔力は床で反射し、天井へと吹き上げる。

 フォースゲイザーかよ!

 覚醒版は3回出そうだ。

 余計なことを考えつつも、オレは合成鬼の腕を細切れにしていた。


 しかし、サイコロサイズに切り裂いた肉片も、互いに引き寄せ合い、本体へと吸収された。


 ならば!


 オレは右手に黒刃の剣、左手に魔力で作り出した光の剣を構えた。


「グオオオオオ!」


 そこへ合成鬼がつっこんでくる。

 今度は両手に魔力を込められている。

 まずは右!

 オレは右腕を斬り飛ばしつつそれを避け、続く左手も同様に処理する。

 それが囮だったと言わんばかりに、合成鬼は額の角から魔力砲が放たれた。


 オレはそれを交差させた二本の剣で受け止め、魔力砲ごと合成鬼の体をバツの字に切り裂いた。

 合成鬼の体内にあった人間の頭部も真っ二つにしている。

 うずまく魔力の中で、ひときわ弱い部分。そこが弱点と見たのだ。


 地響きを立てて合成鬼は倒れ伏した。

 しかし、またしても再生を始める。

 再生を始めたのは、体内にあった人間の頭部も同様だった。

 脳ですらヴァリアントに浸食され、人間を辞めているか。


『すさまじい腕前だな。とても人間とは思えん……。だがどうだ! 魔力が続く限り、いくらでも再生するぞ!』


 勝ち誇る長には悪いが、倒す方法は両手の指で足りないくらい思いつく。

 純粋な戦闘となれば、オレのフィールドなのだ。


 決めた。この手で行こう。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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