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6章:オレの義妹が戦い続ける必要なんてない(8)

「スサノオ……なんでこんなところにいるんだ」


 生首状態で謎の液体に浸けられているのを「いる」と表現して良いのかはわからんが。


「見ての通り治療中だよ」


 液体を振動させて発する声は、ずいぶんとくぐもっている。


「見ても全然わからんが」

「はっはっは。そうかもね」


 なんでこの状況で笑えるんだよ。


「治療するにしても、なんで『組織』の施設にいるんだって聞いてるんだ」

「そりゃあ、ヴァリアントは治療施設なんて持ってないからな。弱いヤツは死ぬだけだから」

「そこじゃねえ。ヴァリアントが『組織』で治療されてること自体がおかしいだろ」

「だよねえ」


 スサノオは苦い顔で自嘲気味に笑った。


「ヴァリアントと『組織』は繋がってるのか……。お前はそのこと、知らなかったんだな」

「実に聡い高校生だ。恥ずかしい話だけど、その通りだよ」

「なぜだ。人類とヴァリアントは敵同士だろう」

「違うよ。喰う者と食料だ」


 こういうところが、スサノオもヴァリアントだと思い知らされる。


「人間側からすると、処世術というやつか」

「だったらまだよかったんだけどね。いやはや、人間の欲望には恐れ入るよ。僕達の食欲以上かもね」


 そうか……そういうことか……。


「『組織』は食料をヴァリアントに提供し、高位のヴァリアントは『組織』の人間を襲わないという報酬を払う。

 『組織』は低位のヴァリアントであれば倒せるので、彼らは安全を得られる。さらに安全を要人に売ることで資金を得た上に、政治に口を出すことすら可能になる」

「つくづく高校生とは思えないね。まるでどこかで回答を見てきたかのようだ」


 あちらの世界でも、魔族相手に似たようなことをしている国があった。

 その国は最終的に、魔王に良いように使い捨てられていたが。


 こんな組織に双葉を置いておくわけにはいかないという気持ちが強くなる。

 由依のいる北欧系はどうなのだろうか?

 この調子だと、あちらもまともとは思えないが、今は双葉のことを解決しよう。


「じゃあな、情報提供感謝する」

「おや、僕を殺していかないのかい?」

「そんな姿で人を喰うもなにもないだろ」

「復活したら食べるよ」

「その時は殺してやるよ」

「あっはっは。やっぱりキミは面白い人間だ」

「変わり者って意味なら、あんたに言われたかないね」


 情に流されたというわけじゃない。

 こいつは、他のヴァリアントとは何かが違う。

 こういう男は生かしておいた方が良い。

 魔族との戦いで学んだ経験に基づく勘ってやつだ。


 こいつに関してはちょっと気になることもあるしな。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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