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6章:オレの義妹が戦い続ける必要なんてない(3)

『やれ! 多少痛めつけてもかまわんが、生かして捕らえろ!』


 声だけとなった長の号令に従って、オレ達を囲むように展開した二十人の出仕と巫女が、戦闘体勢に入った。

 それぞれ懐から呪符を取り出し、呪文を唱え始める。


 阻止することは容易い。

 だが、日本神話系組織の攻撃方法も見ておきたいな。


 双葉もポシェットから呪符を取り出し、呪文を唱え始めた。

 魔力の流れからして、防御魔法だろう。


 オレは腕組みをし、仁王立ちのままだ。


「「「「雷撃招来!」」」


 全員の呪符が燃え散ると同時に、彼らの掌から雷が迸った。

 威力は体が痺れてしばらく動けなくなる程度といったところか。

 発動には、消耗品の呪符を使うらしい。

 その分、グングニルのような術者への過剰な負担は少なそうだ。

 その代わり、威力も低い。

 何より呪符がなくなれば術が使えなくなるようだと、継戦能力に不安が出るだろう。

 呪符のような魔法アイテムを作ること自体、難しいと聞くしな。


「雷を散らしめよ!」


 対する双葉の呪符も燃え散り、飛来する雷の何本かの軌道を逸らせた。

 やるじゃないか。

 しかし、残りはこちらへと向かってくる。


 オレは異空間から取り出した黒刃の剣で、十数本の雷を絡め取った。


「ばかな!」「雷を見てから絡め取るなんてできるものなの!?」「そもそもただの人間が我らの術を防ぎきるなど!」


 随分と自分達の術に自信があるようだが、まあこの程度だろう。

 彼らが組織内でどの程度の強さなのかは知らないが、人数を用意されたあたり、戦闘要員としては下っ端ということか。


「呪符を扱える我らエリートの攻撃を防いだのだ。何かトリックがあるに違いない!」「そうだ! そうに違いない!」


 エリートだったか……。

 この調子だと、ダークヴァルキリーを倒すのにも二桁の人数が必要そうだが、やっていけているのだろうか。


 オレは双葉をまきこまないよう、彼女の肩を引き寄せると、剣を水平に振った。

 その剣から、先ほど絡め取った雷が波紋状に広がり、巫女達全員を吹き飛ばした。


「くっ……」「ぐぐ……」


 彼らは数名を残して気絶し、意識がある者も体が痺れてうごかないようだ。


『なんだと!? その力、ただ特異点というだけではないな!?』


 驚愕する長の声が響く。


「そこまで行くから待ってろ。今度は、ちゃんと顔を見て、ゆっくり話し合おうじゃないか」


 オレは何もない空間に向かって、拳大の火炎弾を放つと、不可視化されていた呪符が燃え尽きた。

 こちらを監視しつつ、声を届けるための魔法アイテムだろう。


「お、お兄ちゃん……ってもしかして、ものすごく強い?」

「それなりにな」

「それなりってレベルじゃなかったよ!? どうやってそんな強さを……というより、いつから? ついこないだまでは、お兄ちゃんから魔力を感じることなんてなかったのに」

「詳しいことは帰ったら話してやるよ。それより今は、長のところに向かわないとな」

「行くってどうやって?」

「ああいうヤツは、高い建物のてっぺんか、地下の一番深いところにいるもんだ。だから、こうするのさ」


 オレは指から出したビーム状の魔力で、自分と双葉を中心に、床を円形に切り抜いた。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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