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6章:オレの義妹が戦い続ける必要なんてない(1)

  ■ 6章 ■


 神社の手伝いから帰ってきた双葉と、いつもの朝食。

 だが、普段はなにかとうるさい双葉が、終始無言だ。

 テレビのニュースからは、「記憶にございません」などと答弁をする政治家のニュースが流れている。

 こいつ、オレと由依がダークヴァルキリーから助けたヤツの一人だ。

 政治家だったのか。


「お兄ちゃん、本当に組織の本部に行くの……?」


 双葉が半熟目玉焼きに、こんがり焼けたベーコンをひたしながら、上目遣いで訊いてきた。


「保護者として、ご挨拶にいかないとな」

「そんなのいいのに……。学校は?」

「休む。悪いが双葉も休んでくれ」

「ええ……皆勤賞が……」

「一日でも早い方がいいんだ」

「なんでそんなに急ぐの?」

「妹があんな怪物と戦っていると知って、落ち着いていられる方がおかしいと思うぞ」

「常識がひっくり返るくらいの異常事態な割にはおちついてるんだよね……」


 なかなか鋭い妹だ。


「イヤか?」

「うーん……正直、ヴァリアントには関わってほしくなかったんだけど、もう遅いんだよね。だったら、ちゃんと説明を受けてもらった方がいいかなあ……」

「だろ?」

「うーん」


 双葉はどこか納得できない顔で、渋々頷いた。


◇ ◆ ◇


「ここが本部?」


 双葉に案内されたのは、丸の内にある大きなオフィスビル前だった。

 意識の高そうなOLが、ヒールを鳴らしながら歩いている。

 キャリアウーマンというヤツだ。

 この言葉も、未来では逆に使われなくなるんだけどな。


 なおオレはジーパンにTシャツ、双葉はミニのワンピースである。

 メチャクチャ浮いている。


「うん、地下にあるの」


 案内されたビル内は一見、普通のオフィスビルだ。

 入口近くのエレベーターホールを素通りし、何度か角を曲がった人気の無い場所にある小さなエレベーターに乗った。

 双葉は、五十階まであるボタンを順番に押していく。

 すると、急にエレベーターが下がりだした。

 ボタンは地下一階までしかないが、現在地の表示は既に地下十階を超えている。

 やがてエレベーターは、地下三十階で停止した。


 エレベーターの扉が開くと、学校の体育館が5,6個すっぽり入るほどの空間と、そこに陣取る大きな鳥居がオレ達を出迎えた。

 中央に静かな泉があり、全体的に神社を思わせる装飾の施されたホールからは、五本の廊下が延びている。


 鳥居をくぐると、強力な魔力を感じた。

 かなり強力な結界だ。

 エレベーターで下っている間も感じていたが、それはこの結界を隠すための結界だったのだろう。

 だがこの結界、外敵から守る以上に、内部の魔力を外に漏らさないように作られているような……。


「双葉様、そちらの方は?」


 受付らしき巫女服の若い女性が、静かに近づいてくる。


 発する魔力から察するに、門番もかねた受付といったところか。

 そこらの人間なら一ひねりできる程度の実力はありそうだ。


「あたしのお兄ちゃんです」

「ヘルメットに入った生首みたいな言い方だな」

「何の話?」

「いや、なんでもない」


「双葉様のお兄様……? もしかして、特異点の……」


 巫女服の女性が値踏みをするように、じっとこちらを見つめてくる。


おさに面会させてもらえますか?」

「双葉お前、様付けで呼ばれてるのか」

「お兄ちゃん、ちょっとだまっててくれる!?」

「悪い、続けてくれ」


 ちょっとちゃちゃを入れすぎた。

 リラックスさせようと思っただけなんだわ。


「確認して参ります。お待ちください」


 そう言うと、巫女服の女性は鳥居の柱に隠されていた扉の中から、受話器を取り出した。


 そんな所に内線電話があるんかい。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

6章開幕です!

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[一言] これ....お兄ちゃんです、禿げはVを認めてくれよ、作品は面白いです。
[良い点] Vガンねた。
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