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5章:ドラッグ オン ヴァリアント(33)

 オレは前傾姿勢を取り、左手で剣を構えた。


「やるのですか? スサノオと戦ったダメージが残っているんでしょう?

 全身の魔力回路がボロボロだ。

 いかにキミが人間離れした強さを持っていても、とくにその右腕はダメですね。

 まあ、人間がスサノオと戦って、立っていられるだけでも異常なんですけどね」


 カグツチが両手に灯した炎を握ると、それらは剣の形になった。


 べらべらとよくしゃべる野郎だ。


 オレは剣を横薙ぎに斬りつけた。

 カグツチはそれを炎の剣で受ける。

 腕はさほど悪くないが、スサノオよりは数段落ちる。


 しかしめんどうなことに、炎が剣を伝ってオレの手へと向かってきた。

 オレは剣を軽く振り、まとわりついた炎を消す。


「僕の炎は対象を焼き尽くすんですけどね。それを一振りとは……いやはや、つくづく普通の人間とは思えないね。だけど、わかったでしょう? 片手じゃきついんじゃないですか?」


 力量の見切りは悪くないようだ。

 スサノオの一撃で魔力をごっそりもっていかれたのが何より大きいが、片手で二本の炎の剣をかいくぐるのは難しい。

 両手が使えるか、もう少し魔力が残っていればやりようはいくらでもあったのだが。


「試してみるさ」


 オレはちらりと由依に視線を送ったあと、再び構えをとった。

 右手は動くには動くが、そえるのが精一杯だ。

 ある程度まともに使えるようになるのに、あと一分ほどかかる。


「なんと! 動くのですか! すごい回復速度ですね。だが、時間稼ぎはさせません!」


 つっこんでくるカグツチに対し、オレは剣を両手で構えたまま、数歩分下がった。

 かまわずカグツチは間合いを詰めてくる。


 視界の端で、まだ足取りの怪しい由依が動いたのが見えた。

 部屋の隅に転がっている銃を拾い、構えている。


「今更銃など!」


 カグツチは由依を無視してオレに斬りかかってくる。


 ――バンッ!


 乾いた音とともに発射された弾丸は、オレの右肩に命中。


「どこを狙って――なに!?」


 右肩に命中した弾丸を中心に、回復術式が展開した。

 自身でかけ続けていた魔法との相乗効果で、右腕は十分に使えるほどに治癒された。

 ナイスだ由依! 視線だけでわかってくれたか。

 右肩は痛かったけどな!


 オレは二太刀で炎の剣を二本とも斬り飛ばした。

 そのままの勢いで脳天から一刀両断。

 左右に分かたれたカグツチの体が、炎となって消え始める。

 炎による変わり身だ。

 だがオレは、それが消え始めるより早く、振り返った。


「見えてんだよ!」


 背後に現れたカグツチの、今度は胴を真っ二つにする。

 それもまた炎となって消えることは、魔力の動きでわかっている。


 さらに、オレは上へと剣を振り上げた。


「ぐあっ!」


 オレは剣でカグツチの胸を貫いたまま、ヤツを床へと叩きつける。


 剣から自分の体を引き抜いたカグツチは神楽殿の入口あたりまで床を転がり、オレと距離を取る。


「つ、強い……。なんなんだ一体……。こうなったら、スサノオにトドメだけでもさして――」


 胸の傷を炎で無理矢理塞ぎ、立ち上がったカグツチ。

 すぐさま追撃しようとしたオレだが、カグツチのすぐ後ろに見覚えのある顔が現れた。


「なに……してるの? お兄ちゃん」


 双葉!?


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[一言] なんだこの終わり方…次から次へと…なんだか次の話怖くて読みたくない…でもストーリー的に読まないと…何でドンパチしている所に妹がドンビシャで来るの?
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