5章:ドラッグ オン ヴァリアント(29) SIDE スサノオ
SIDE スサノオ
部下のカグツチから、クスリをばら撒いている人間が分かったという報告が来たときは歓喜した。
これでクシナダを殺したヤツに思い知らせることができると。
だが、まさかその相手が、難波カズだとはな……。
彼がそういったことをするタイプには見えなかったが、あれだけ証拠を並べられては、信じざるをえない。
情報通り、こんな早朝にこの神社にいたのが何よりの証拠だ。
本殿には大量のクスリが保管されていた。
魔力を誤魔化しやすい神社を根城にするとは、考えたものだ。
難波の妹がこの神社に出入りしていることも、彼がクスリの元締めであることのカムフラージュになっていた。
それでいて、あれだけすっとぼけられるとは恐れ入る。
年齢にしては落ち着きすぎていると思っていたが、踏んできた場数が違うということか。
北欧組織の女と組んでヴァリアントを狩りまわっているのは事実だし、ヴァリアントをあぶり出す手段として、あのクスリを使っていても不思議ではない。
彼自身の発案なのか、組織の入れ知恵なのかは知らないが。
いずれにしろ、生かしておくつもりは毛頭ない。
己のしたことを悔やみながら死んでもらう。
たとえどれほど貴様が強くとも、今こちらに来ている日本神話体系で最強の近接戦闘能力を誇る俺に勝てると思わないことだ。
やたらと強力かつ特殊な結界も、外から感知されないためなのだろうが、それも貴様自身を閉じ込める檻となる。
……そのはずだった。
だが、なんだこの強さは……っ!
本当に人間か?
草薙の剣をフルパワーで使ってすら倒しきれなかった。
俺はこんなところで、探し続けた敵を殺すこともできずに消えるのか……っ!
ここまでお読み頂きありがとうございます。
5章もそろそろクライマックス!
続きもお楽しみに!
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