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5章:ドラッグ オン ヴァリアント(27) SIDE スサノオ

 SIDE スサノオ


 この体で現世に戻って、そろそろ200年を超える。

 

 同族……と言っていいかわらないが、ヴァリアントの中でもこれほど生きている者はそういない。

 弱き者の多くは食欲に負け、『組織』の連中に狩られる。

 賢き者も、食べること以外に楽しみを見いだせす、やがて長い年月の間に、孤独と退屈に腐っていく。

 永く生きている者は皆、変わり者だ。

 そんな中、俺は幸運だった。


 神話の時代、妻に娶ったクシナダが、ヴァリアントとして顕現したのだ。

 この体になってから、誰かを愛する心が湧くことはなかった。

 しかし、共に生きた刻の記憶は、喰うためだけに生きる俺達に光を与えてくれた。

 互いを大切に想うという感情はない。もちろん性欲も。

 だが、一緒にいるだけで不思議と退屈にはならなかった。

 喰いたいという欲望に加えて、生きたいという欲望が生まれていることを自覚するのに数十年を要した。


 クシナダはヴァリアントでありながら、肉体的に人間の部分を色濃く残した女だった。

 人間に擬態すれば、仲間に喰われそうになるほどに。

 その分、力は弱かった。


 彼女が喰われてしまえば、暇つぶしのネタがなくなってしまう。

 俺が守ってやらねば。


 俺の強さを知る連中は、クシナダに手を出すようなことはしない。

 だが、クスリで頭のネジがトンだ奴らに、そんな理屈は通用しなかった。


 奴らは俺が『組織』との戦いに出ているうちに、クシナダを薬漬けにし、喰ったのだ。


 俺が戻った時、既にクシナダの体は、奴らが「デザート」と呼んだ頭部と、心臓だけになっていた。


 もちろんその場にいた者は皆殺しにした。

 長く生き、腕っぷしだけは強かった俺はそれだけの理由で、『あの方』に従う日本のヴァリアントの中でも、それなりの地位にいた。

 俺は例のクスリを禁じた。

 しかし、クスリはなくならない。

 やがて俺は、人間がクスリをバラ巻いていることを知った。

 その人間を見つけて殺す。

 これを復讐と呼ぶのだろうか?

 俺にはわからない。

 ただ、自分のものを壊されれば、怒るのは当たり前だろう?


皆様のおかげで、400万PV達成しました!


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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