5章:ドラッグ オン ヴァリアント(22) SIDE 由依
SIDE 由依
『ナニカアルナライエヨ』、
カズからのメール。
カナ文字だけの簡素なやりとりだけど、その一行だけで胸が高鳴る。
彼は私のことをとても大切に想ってくれている。
でもそれが、恋愛的な意味なのかはわからない。
時折みせる恋愛の苦手な男子っぽい表情と、子供を見守る大人のような視線が混ざり合い、私をどう想っているのかわからなくさせている。
それが魅力的でもあるのだけど。
考えてみれば、恋愛的な意味での好きなんて、私もよくわかっていない。
でもきっとこれが恋だと想う。
違うと言われるのなら愛だろう。
男の子って、もっと大胆な方が好きなのかな?
年頃の男子はみんなエッチだと聞くし。
でも、顔を近づけるだけで、私もドキドキしてしまう。
彼の体に触れてしまうだけで、頭が爆発しそうになって、なにをしたのか半分も覚えていられない。
こうして彼のことを思い出すだけで、胸と顔がかっと熱くなる。
この家にいる間に、唯一幸せを感じられる瞬間だ。
『ダイジョウブ アリガトネ』と返信する。
本当はもっとたくさん送りたいけれど、20文字以内のメールを何通も送るのは、最近ドラマで流行ったストーカーみたいに思われるかもしれない。
ここは我慢だ。
彼からのメールを何度も見返しては、PHSを胸に抱き、ベッドをごろごろするのを繰り返している。
そうしていると、電話が鳴った。
独自にクスリの出所を調査させているが、その結果が出るにはまだ早いし。
カズからだったら良いなと思いつつも、PHSの液晶パネルを見る。
そこに表示されたのは、残念ながら彼の名前ではなかった。
皆様のおかげで、総合評価45,000pt達成しました!
ここまでお読み頂きありがとうございます。
続きもお楽しみに!
ブックマーク、高評価での応援をなにとぞ! なにとぞよろしくお願いいたします!
(この下にある★5をぽちっと)