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5章:ドラッグ オン ヴァリアント(21)

 オレと由依は相変わらずゲーセン通いを続けていた。

 ドラッグパーティーがあれだけとはかぎらないからだ。

 撲滅できたのであれば、原因を探ることは、そこまで優先順位は高くない。

 だが、そうでないなら、対策を考える必要がある。

 会場があそこだけだとは考えにくい。

 ドラッグパーティーに参加しているヴァリアントを一人くらい生け捕りにしたいところだ。


 杉田に連絡をとってみたが、今のところ他のパーティーの情報は持っていないらしい。

 今日学校で会ったことについても聞いてみたが、「仕事だよ」と返されただけだ。

 それ以上の情報を得られそうにもなかったので、つっこまなかったが。


「ちくしょー! なんでこんなにつえーんだ!」


 筐体の向こう側から、野太い叫びが聞こえてくる。

 カウンターを見ると、50連勝中である。

 勝てる格ゲー、楽しすぎる。


 それは良いのだが、気になるのは由依だ。

 どこか上の空で、ゲームの勝率も控えめだ。


「なあ由依、今日の身体検査で何かあったのか?」


 対戦相手がキャラの選択中、後ろに立っている由依に話しかけてみる。

 他の見学者に倣って腕組みをする由依がかわいい。

 とくに、その腕で持ち上げられた大きな胸が魅力的である。

 周囲の男の視線がチラチラとその胸に注がれるのも仕方のないことだろう。


 僅かに驚いた由依は、一瞬だけ「しまった」という顔をした。

 オレに悟らせるつもりはなかったのだろう。

 イスに座っているオレの眼前にある胸が、ぷるんと揺れた。


 筐体の音響でうるさいゲーセン内で、他の人に声が聞こえないよう、由依が耳元に顔を近づけてくる。

 それだけで周囲に殺気が膨らむのが伝わってくる。


「ちょっと『女の子』のことでね」

「っ……えっと……大丈夫なのか?」


 正直、その辺のことはよくわからんぞ。

 本当にそれが原因ならば、だが。


「そういうの、気にしてくれる関係になるのかな?」


 由依がどんどん妖艶キャラになっていく気がする……。

 だが、由依がそういうのを恥ずかしがらずに茶化すのは、別の何かがある証拠だ。

 本人が言いたくないなら、無理に聞き出すのも難しいか。


 由依の全てをオレが管理するようなことは、由依の人生にとっても幸せだとは言えないだろう。

 死なないだけの状態を、生きているとは呼べない。

 それは、ブラック企業勤め時代にさんざん味わったことだ。


 何かあってからでは遅いが、今のオレにはそれからでも対処できる力がある。

 心配で胸が痛いが、それで由依が楽しい人生をおくれるなら、安いものだ。


 由依のグングニルが起動されれば、オレが感知できるようにしてある。

 ヴァリアント関係で何かあったなら、すぐにかけつけられるしな。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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