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5章:ドラッグ オン ヴァリアント(11)

 ゲーセン調査を始めてから2週間。

 調査範囲は市をいくつかまたいで広げている。


 しかしその間も、学生である以上、当然ながら昼は学校だ。


「おい難波、その鞄についてるキーホルダー……白鳥さんの鞄にもついてたんだが……まさか……」


 オタク仲間の佐藤がめざとくオレの鞄についた、PiFFyのキーホルダーを指さした。

 PiFFyとは、流行りの女性ボーカルデュオだ。

 ピーちゃん派とフィーちゃん派で骨肉の争いが繰り広げられているらしい。

 オレの鞄についているのは……どっちだったかな。区別つかないんだよな。


「たまたまだよ」

「だ、だよな? ルイやアスミやミサコのキーホルダーをつけるのをイヤがったお前がそんな軟派なことを――」

「カズ、ご飯いこう。あ、つけてくれてるんだねそれ」


 渾身のごまかしも、由依の降臨で台無しである。

 はい。クレーンゲームでお互いがとったものを交換しました。


「うらぎりものおおおおお!」


 佐藤は財布を握りしめ、廊下へと飛び出した。

 ありゃあ、購買にパンを買いに行っただけだな。

 ノリの良いヤツである。


「ねえ難波、まつりも一緒にごはん……」

「悪いが」

「はい……」


 こうして鬼まつりが毎日まざってこようとするのも恒例行事になりつつある。

 まわりの視線は痛いし、多少心も痛むので、そろそろ諦めてほしいものだ。

 彼女を許せないという気持ちは少しずつ薄れつつあるが、それ以上に由依との時間が色んな意味で大事だからだ。



 由依との昼食は場所を屋上に移していた。

 多くの高校がそうであるように、屋上は立ち入り禁止だ。

 そこはまあ、簡単なカギなら魔法でちょちょいというわけだ。

 もちろん使用後は施錠も忘れない。


 ここなら他人に見られたり、話を聞かれたりする心配もない。

 憧れてたんだよな。

 学校の屋上でお弁当。


「小テストの結果、最近すごい良いみたいじゃない」

「まあな。ちゃんと授業を聞いてるからな」

「授業中に勝手に問題集解いてるでしょ」

「見られてたのか」

「退屈な授業の時はその方が効率良いもんね」


 こんな他愛もない会話にこそ幸せを感じる。

 かなり忘れているとはいえ、既に一度習った範囲なので、他の生徒に比べてアドバンテージがあるのは間違いない。

 若い脳は物覚えも良いしな。


 学生時代には気付けなかったが、正解がある問題を解くのって本当に楽しい。

 社会人時代は正解がないどころか、「AかBどちらかの地獄を選べ。よし選んだな。じゃあもっと酷い地獄Cにつれてってやろう」みたいなのばっかりだったからな……。


「由依、これを」


 オレが由依に渡したのは3つの弾丸だ。


「こないだ貸した私の弾丸?」

「回復の術式を仕込んでおいた。着弾した場所を中心に、半径2メートルほどに回復魔法が展開する。着弾時は普通にダメージがあるから、直撃させるなよ。自分に使うときは、足下に撃ってくれ」

「すご……。普通の弾丸に魔法をこめるなんて、組織でもできる人いないんじゃ……」


 オレも作るのにかなり時間がかかった。


「欠損部位を再生させるほどの効果はないからな。あくまでいざという時のサポートだと思ってくれ」

「うん、ありがと」


 そんなこんなで準備を進めつつ、ゲーセン巡りをしていたある日。

 やっと状況に変化が起きた。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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