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5章:ドラッグ オン ヴァリアント(9)

 由依との修行場に選んだのは、月の裏だった。

 結局ここが一番安全だと判断したのだ。


 判断をしたのだが……生身の人間を大気圏外まで安全に運ぶのは、思いの外魔力を消費した。

 毎日はキツイなコレ。

 口に出すと「重たいってこと?」とかお約束のセリフがとんできそうなので、黙っておくが。

 そこまで酷い消耗ではないものの、強力なヴァリアントが現れた際、その僅かな差で由依を護れないなんてことになっては目も当てられない。


「すごい……宇宙だ……宇宙だよカズ!」


 オレと両手をつないでいる由依がぴょんと飛び跳ねるような仕草をするが、そのすらりと長い脚は宙をかき、ミニスカートをふわりと揺らしただけだった。


 この笑顔が見られただけでもいいか。

 今日の特訓は、かなりの魔力を放出するから、近くにヴァリアントがいるところでやるわけにはいかないしな。


「今日の特訓は何をするの?」


 由依の問いに答える代わりに、オレは由依とつないだ両手を広げ、二人の腕で円を作る。


「由依の体内魔力回路を限界まで最適化する」

「ええと……つまり?」

「ナメクジ星の最長老様みたいなもんだ」

「私にも潜在能力が!?」

「あそこまでオカルトじゃないし、一応理屈はあるんだが、一度だけ急激にパワーアップできるという意味では似ているな」


 やることは魔法なので、オカルトもなにもないか。


 由依には魔力を操る才能があるから神器を扱える。

 だが、神器に体を無理矢理使われている状態だ。

 魔力の通り道を血管に例えるなら、高血圧のお年寄りといったところか。

 これも言うと怒られそう……。

 PCのデフラグと言いかえてもいいが、これはこれで通じないだろうな。

 しかし、手動でデフラグする必要性も、あっという間になくなるんだよな。技術の進歩とはすごいものだ。


 とにかく、魔力の流れを効率化しつつ、大出力にも体が耐えられるようにするのだ。

 実力に応じてこまめに最適化はするべきだが、最初の一回はとても効果が高い。

 以前軽く施したことはあるが、それをじっくり本格的に行う。

 同時に神器をより由依向けの最適化もしておく。


「これからオレと由依の間に大量の魔力を循環させる。かなり刺激が強いから覚悟しろよ」

「う、うん……」


 由依はごくりと生唾を飲みこんだ。


 宇宙空間でゆっくりと回転する二人の間に、少しずつ魔力を流していく。

 オレの右手から由依の左手に。

 由依の左手からオレの右手に。


「んんっ……気持ちいぃ……い……いたたたたた!?」


 由依の体は快楽と激痛に交互に襲われているはずだ。

 回路を組み替える時に痛みが、それを拡張しながら魔力の通りを良くする時に快楽がやってくる。


「カズ……これあとどれくらい続くの……?」

「三時間くらいだな」

「私……おかしくなっちゃわないかな……」

「…………」

「何か言って――あぁっ……くふん……」


 こちらだって、色っぽく身をよじらせたり、大きな胸を揺らしながら痙攣したりする由依を目の前にして、平静を保つのが大変なのである。

 性欲を持て余すレベルだ。


 そうして約3時間がたったころ。


「よし、完了だ」

「ふぇ……はぁはぁ……終わった……の……?」


 息も絶え絶え、全身汗まみれの由依が、オレにもたれかかってきた。

 胸のあたりに柔らかい膨らみが押しつけられる。

 たまにビクンと痙攣する由依の体をそっと支えつつ、必死にその柔らかさから意識を逸らそうと努力する。


「はぁはぁ……もうだめ……全身ぐっしょり……お風呂入りたい……」


 こりゃ、効果を確認するのはまた後日だな。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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