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5章:ドラッグ オン ヴァリアント(8)


「ねえカズ、あれ撮ってみよ。一回やってみたかったの」


 由依が指さしたのは、プリントクライマックス。通称プリクラだ。

 ブースに入って写真を撮ると、それがシールとして排出される。

 携帯に撮影機能がついてからは下火になった印象が強いが、「JKと言えばプリクラ」という時代があった。


「どうだった? あやしい人はいた?」


 ブースに入ると由依は初めて触れる筐体の操作方法に戸惑いながら、小声で話し始めた。


「格ゲーに夢中になってるだけじゃなかったんだな」

「あ、あたりまえ……だよ? ゲームセンターって、女子は少なそうだったから、目立っておけば情報収集にも役立つかなって」


 目が泳いでいるが?


「少なくとも、ヴァリアントは見つけられなかったな」


 もちろんオレも由依の活躍をぼけっと眺めていたわけではない。

 注意深く周囲を探っていた。


「そっかあ。私の神器は、人間に擬態されちゃうと探知できることは殆どないから、カズ頼りになっちゃうんだよね」

「神器はあくまで武器だからな。しょうがないだろ」


 対象の情報が少ない場合の探知は、単純にレーダーの精度だけの問題ではなくなる。

 なにせ、何を探せば良いかわからないのだ。

 どうやって何をを探知するかという、経験に基づく勘のようなものが必要になる。


「初日に見つかるようなものでもないよね」

「そういうことだ。由依の訓練を続けながら、地道に探すしかないな」


 スサノオが露骨な誘導をしてきた以上、近いうちに何かありそうだがな。


「ほら撮るよ。笑顔、笑顔!」


 筐体からはとびっきりの美少女と、引きつった顔をした男子が並ぶシールが出て来た。

 何年生きても、写真で笑顔を作るのは苦手だ……。


「半分渡したいんだけど、ハサミなんて持ってきてないのよね。そうだ、グングニルで」

「やめろやめろ」


 こんなところで足を振り回す気か。

 オレは指先に小さな真空の刃を作り、マス目状に写真がプリントされたシールを、ちょうど半分にした。


「魔法って便利ね」

「こっちに戻ってきて、初めてそう思ったよ」

「えへへ、カズとのプリクラだ」


 そこまで嬉しそうにされると、すごくむずがゆいんだが。

 変な顔で写ってるし。


「そろそろ補導されちゃう時間かな」


 そうか、高校生のゲーセンの出入りには時間制限があるんだったな。


「今日は帰るとするか」

「うん、また明日ね」

「明日は別のゲーセンだ」

「家でもセイヴァーのイメージトレーニングしてくるね」

「そんなことより、神器の扱いを練習してきてくれ」

「冗談よ。夜の特訓の約束、忘れないでね」

「もちろんだ」


 オレは由依に稽古をつける約束をしていた。

 もちろん、由依自身を鍛えることで、彼女の生存確率を上げるためだ。

 いったん家に帰り、こっそり合流する手はずになっている。

 問題は場所だ。

 白鳥家をまた使うのはちょっとな……。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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