エピローグ
ヴァリアントが人を喰うと、対象は因果ごと消滅する。
しかし、喰われずにヒミコが流布した情報だけを得た人々の記憶の多くは残ることとなった。
ヴァリアントは都市伝説のように語られることとなり、好奇心にかられた連中がヴァリアントの餌になる事件が増えた。
記憶にも、記録にも残らぬまま。
そうして、ヴァリアントに関する記憶はじわじわと人々の記憶から消えていく。
ヒミコが滅んでから5年。
埋め立て地のクレーターには大規模ショッピングモールがオープンしていた。
「暮らすって物要りね」
由依は、どこかの魔女子さんみたいなことを言いながら、フライパンを手にとっている。
今日は2人で新居の買い物だ。
この春からオレと由依は白鳥家を出て、2人で暮らすことにした。
自分たちでマンションを借り、新生活のスタートである。
同じマンションには、双葉やシスティーナに華鈴さん、美海達も引っ越してきており、なにかと賑やかである。
由依はちょっと不満げではあったが、同時に楽しそうにもしている。
一番悲しんだのは、早乙女さんだ。
なんと、白鳥家のメイドを辞めて、オレ達が住むマンションのコンシェルジュに就職してしまった。
由依の身の回りのお世話ができなくなって、毎晩泣いてるとかなんとか。
あれ以来、表立った動きを見せないヴァリアント達だが、関東での『食事』はほとんどなくなったようだ。
オレ達がひたすら潰してまわったため、ヴァリアントの間に情報が出回ったのだ。
「カズ、何か出た」
由依が魔力の出現した方へと視線をやる。
かなり離れた場所だが、魔力探知が上手くなったな。
オレ達は頷きあい、魔力の発生源へと向かう。
ヴァリアントが湧き続ける以上、オレ達の戦いは続くだろう。
由依が、双葉が、そして仲間たちが人生を謳歌できるように。
完
本作はこれにて完結となります。
長期連載にお付き合い頂いた皆様、ありがとうございました。
原作とは少し違う展開のコミカライズ版も同時に完結していますので、合わせてよろしくお願いします。
コミカライズの最終巻は5/27発売です!
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新作「魔力ゼロだからと追放されて死んだら、オレの中の魔王が目覚めて犯りたい放題しやがる」もよろしければぜひ!
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