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22章:ヴァリアントスレイヤー(7)

SIDE カズ


「やってくれたな」


 オレは体内で魔力を練りながら、ヒミコを睨みつけた。


「それはこちらのセリフだ」


 ヒミコもまたオレを睨み返す。


「せっかく出て来たところを悪いが、絶界の中に戻ってもらうぞ!」


 オレを囲むように四人のヴァリアントが出現した。

 また神域絶界に閉じ込める気だろう。

 そう来るだろうと思ったさ。

 前回ほどの用意ができていないなら、対処方法はいくらでもある。


 オレは視線に魔力をこめて、ヴァリアントを睨むと、ぼしゅっと音を立てて紫色の煙となって消えた。


「視線だけで魔力を直接体内に撃ち込んだだと……!?」

「すぐに見抜くとはさすがだな」

「妾には効果はないだろうが、雑魚どもはいよいよ役に立たぬか」


「お兄ちゃん!」


 目を覚ました双葉が呪符を取り出すと、オレの体が淡く光った。


「これで神域絶界に閉じ込められるのを一瞬だけ耐えられるはずだよ。そのかわり、逃げ込むこともできないから気をつけ……て……」


 そう言って、双葉は再び意識を失った。

 サンキュー、双葉。

 ほんの僅かでも猶予があれば、不意打ちで神域絶界に閉じ込められるのは避けられる。


 まずは彼女達の安全確保だ。

 オレはテレビ局内全ての生命反応を魔力で走査した。


 生きている者は全員ヴァリアント化しているな。

 人間がいないのはむしろ好都合。


 オレは魔力弾で、直系3メートルほどの穴を壁に空けた。


 半球状の結界で包み込んだ由依達をそこから外へ出した。


「由依! みんなを頼む!」

「わかった!」


 みんなを結界ごと十分遠方へと送り出す。

 あの結界はちょっとやそっとじゃ壊されない。

 さっき由依に魔力を渡した際、彼女が戦闘状態になればわかるようにもしてある。


 さてと……。


「局員に種をしこんだろ」


 TV局関係者全員をヴァリアントで固めるなんてのは、さすがに難しい。

 冷泉さんの時に見た、人間をヴァリアント化する『種』を使ったに違いない。


「ようやく完成したのでね。できあがるのは低級のものばかりだが、『食事』のために妾の言うことを良く聞いてくれる」

「よくわかったよ……」

「念のため聞いておくが、妾と手を組まぬか? 世界をとる準備はできておる。貴様になら好きな大陸を一つくれてやってもいい」

「頷くと思うか?」

「くっくっく、無理であろうな」

「そういう……ことだ!!」


 オレは体内で練っていた魔力を解放した。

 球状に広がったオレの魔力は、機材、壁、全てを吹き飛ばしていく。


 轟音が収まった後、TV局があったはずの場所は大きなクレーターになっていた。


 クレーターの上空にいるのは、オレとヒミコの二人だけ。

 5kmほど離れた場所に、由依達が視認できる。


「やれやれ、容赦ないのう。大事な拠点の一つだったんだがな」

「徹底的にやらせてもらうぞ。二度とオレと仲間に手を出す気がおきないようにな。もっとも……お前はここで消えてなくなるがな!」


 オレはヒミコとの間合いを瞬時につめ、その腹に拳を叩き込んだ。


 ――ドンッ!!


 衝撃波はヒミコの腹を突き抜け、地平線の彼方の雲まで吹き散らす。




ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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