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20章:私達をスキーに連れてって(8)


「ふう、これでよし」


 魔力を止めると、結界はみるみる塞がっていく。


「ヨシかなあ?」

「そうは言っても心配はしてるだろうから、早く帰ってやろう」


 オレは魔力で雪を操ると、二人を囲むようにかまくらとを作った。

 ついでにイスも作り、システィーナに勧める。

 ここが本物のゲレンデなのかはわからないが、あとでもとにもどせば問題ないだろう。


「んで、話って?」


 システィーナは少し迷ったあと、まっすぐにオレを見た。


「夢をミるの」

「夢?」

「そう、化物と私が戦ってイル夢」


 それって……バチカン最強戦士だった頃の?


「まるで私が私ではないみたいだっタ。でも、現実感がすごい夢で……大抵は起きると忘れてしまうのだけど、毎日メモをとっているうちに、少しずつ記憶に残っていっタの」


 メモなんてとってたのか。


「私、とても人間とは思えない動きをしていたの。でもなぜか、あれは過去に実際にあったことなんだってわかルの……」


 システィーナが悲しそうに目を伏せた。


「私が戦ったことで死んだ人もいた……。もしかして私、過去にひどいことをしてたの……?」


 どう答えたものだろうか。

 オレもシスティーナの過去を全て知っているわけではない。

 だが彼女を傷つけることも、責めることもなしにしたい。

 彼女はもう十分に苦しんだ。

 それに……。


「そうだな……。オレもシスティーナの過去に詳しいわけじゃないけど、すごい力を振るっていてのは事実だ」


 その力は、刃を交えたオレがよく知っている。


「そっか……たくさんの人を傷つけたんだよね、キット」

「それは違う」

「え?」

「たくさんの人を救ったんだよ」

「化物……ヴァリアントから?」

「そうだ。システィーナが戦うことで救われた命は多い」

「でも……あの夢は……」

「もしシスティーナのせいで人が死んだようにみえても、その人達は放っておいても生きちゃいなかったよ。ヴァリアントに喰われてな」

「そうナの?」

「そうさ。だからシスティーナは、人を傷つけたんじゃない。人を救ったし、救えなかった命があっただけだ」

「そう……カナ……」

「ああ。今こうしている間にも、世界中でたくさんの人がいろんな理由で理不尽に亡くなっている。その全てを救うことなんてできやしなし。でも、システィーナは一部とはいえ救ってきたんだ」

「そっか……ありがとね、カズ。聞いてもらえて楽になったヨ」


 システィーナはほっと肩の力を抜いた。


 たいしたことは言っていない。

 だが、これだけのことがシスティーナにとっては大事なことだったんだろう。

 それをわかってやれないとは、オレもまだまだだ。


「じゃあ私、もっと多くの人を救いタイ」

「それは……オレ達と一緒に戦いたいってことか?」


 システィーナは真剣な顔で頷いた。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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