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20章:私達をスキーに連れてって(6)

 ライトに照らされて輝くゲレンデを眼下に、3人乗りのリフトが空を行く。

 オレを真ん中に、左はシスティーナ、右は由依だ。

 両手に花である。


 日が落ちて気温は急激に下がっていた。

 空気中の水分が凍って、キラキラ輝いている。


 スキー場が最も混雑していたころは、ゴンドラが1時間待ちなんてこともあったらしいが、90年代後半ともなると流行はすぎていた。

 ナイターなど、ほぼ並ばずにリフトに乗れる。


 景色も良いし、寒いことを除けば快適だ。


「キレイね……」


 眩しそうに目を細めたシスティーナが体をぶるっと震わせた。


「寒いか?」

「ううん、ダイジョウブ」


 システィーナは首を横に振り、ぎゅっとオレに腕を絡ませてきた。


「わ、私も大丈夫だからね」


 反対側から由依が同じように腕をからませてくる。


 大丈夫とはいったい?




 リフトを降りると、例のナンパ3人組が上から降りてきた。

 よく会うなあ。

 つけられてるんじゃないかと思うほどだ。

 一応警戒はしていたが、そんなことないんだけどな。


「ナイターで特訓か?」「ヘタクソががんばってんなあ」「女の子だけだったら教えてやろうか?」


 相変わらずロクでもない連中だ。

 こんな調子じゃ、ナンパになんて成功しないだろう。


「言われっぱなしも気に入らないわね」


 由依がにやりと笑った。


「そうだな」

「そうだよネ」


 オレとシスティーナもそれに続く。


 昼に比べてナイターはゲレンデにも人は多くない。

 オレ達は顔を見合わせると、スピード全開で斜面を滑り出した。

 3人とも、一流スキーヤーと呼んで差し支えない腕前だ。

 それに加え、オレを先頭に、一糸乱れぬ揃った動き。

 日中、上手い人の動きを観察することで、一気に上達したのだ。

 由依はともかく、システィーナまで急激に上達したのには驚いた。

 才能というやつだろうか。


 オレ達はナンパ組を追い越した。

 それも直滑降ではなく、華麗にシュプールを描きながらだ。

 周囲に人がいないことを確認してから、よっと!


 オレはゲレンデのコブを使ってジャンプ。

 体をひねりながら後方宙返りを決めた。


 やがてオレ達は、リフト乗り場へと戻ってくる。


「ちょっとカズ、あんなジャンプどこで覚えてきたの?」

「やってみたらできた」

「ぶっつけ本番!? 危ないよ!?」

「頭から落ちてもケガなんてしないしな」

「いやまあ、そうかもだけど……。まあ、そうよね。カズにその手の心配は不要だったわ」


 由依を心配させちゃったのは悪かったな。


 オレ達の横をバツが悪そうな顔をしたナンパ組が通り過ぎる。


 実にいい気分だが、こちらから煽ったりなんてことはもちろんしない。

 ただひそかに顔を見合わせて微笑むだけだ。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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