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19章:かみまい!(5)


「カズ……」


 由依が心配そうにオレを見る。


「わかってる。今はそっとしておくさ。あとで話しておくよ」

「うん」

「双葉のこと、心配してくれてありがとな」

「家族だもの」


 そうか、そう言ってくれるのは嬉しいな。


「双葉ちゃんが走っていったけどどうしたの?」


 そこに姿を現したのは、神器を発動してバニーガール姿になった美海と、彼女の能力で一緒に姿を消していたシスティーナが現れた。

 初詣の神社にバニーガール……。


「ちょっとな……。詳しいことは後で説明するから、姿を消した状態で双葉を追ってくれるか? ないとは思うが、ヴァリアントが手を出してくるかもしれない」

「わかった。でも、あとでご褒美ちょうだいね」


 神器の影響で淫乱モードになっている美海は、オレに投げキスをして姿を消した。


◇ ◆ ◇


 初詣から帰ってきたオレは、パジャマに着替え、双葉の部屋のドアを静かにノックした。

 もう寝ているかもしれないが、それなら明日出直すことにする。


「お兄ちゃん?」


 室内からはやや力ないものの、はっきりとした返事が返ってきた。


「入っていいか?」


 おれの問いかけに、内側からドアが開かれた。

 双葉もパジャマ姿だ。

 目元が少し腫れている。

 泣いていたのだろうか。


「入っていいよ」


 オレと双葉は全く乱れていないベッドに並んで座った。


 しばしの沈黙。


「お兄ちゃんは知ってたんだよね」


 先に口を開いたのは双葉だ。


「スサノオから直接聞いてな」

「そっか……」

「怒ってるか?」

「ううん、あたしのためを思って黙っててくれたんでしょ?」

「ああ……」

「じゃあいいよ。教えてほしかった気もするし、知りたくなかった気もするから」

「そうか……」

「えへへ、自分でもよくわからないっておかしいよね」


 いつもの強気な妹とは思えない、弱々しい笑みだ。


「自分のことだからこそよくわからないってこともあるさ」

「大人みたいなこと言うんだね」

「そうか?」


 人生の最高年齢アラフォーだからな。


「あたし、どうすればいいかな?」

「いままで通りでいいさ」

「でもあたし、人間じゃないんでしょ?」

「ヴァリアントと人間のハーフを人間じゃないと呼ぶならそうだな」

「うん……」

「でもさ、進化論を信じるなら、人になりかけの頃って、人とそうなる前の生物のハーフなんだと思うんだ。もし、今も人が進化をし続けているとしたら、ミクロに見ればみんな進化の度合いは違う。ということは、純粋な『人間』ってなんだってことにならないか?」


 このあたりは、人間とエルフや魔族とのハーフがたくさんいた異世界で、仲間たちと話したことだ。


「お兄ちゃんが賢そうな屁理屈をこねてる」


 義妹にはいまいち響かなかったみたいだけとな!


「でも、ありがと……お兄ちゃんの妹でよかった…、」

「オレも双葉が妹でよかったよ」


 二の腕に預けられた双葉の頭を優しくなでてやる。


「それで、さっきの結婚の話だけど」

「へ?」


 暗い気持ちをまぎらわすための冗談だったんじゃ?


「家族としても、恋人としても楽しめるなんてオトクだと思わない?」

「お前、オレのこと好きだったのか?」

「んー? わかんない」

「ええ……?」

「だって、世界で一番大事な人だもの。それがどんな愛かなんてわかんないよ。ただ、一生一緒にいたいなって思うだけ。由依さんとはまだつきあってもいないんでしょ?」

「まあな」

「じゃあチャンスはあるよね」


 双葉はオレの胸に顔を埋め、ぎゅっと抱きしめてきた。

 オレもその小さな体を抱きしめる。


 双葉が本気なのかはともかく、大切な家族であることに異存はないのだ。


「ねえお兄ちゃん、今日だけは一緒に寝て?」


 あんな告白を受けたあとだと、素直に頷きにくいんだが。


「大丈夫、襲ったりはしないから」

「中学生がへんな冗談言うじゃありません!」


 お兄ちゃんは将来が心配ですよ!



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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