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18章:クリスマスの夜と言えば空を飛んでリングを取る(2)

 教室を後にしたオレ達は、白鳥家への道を並んで歩いていた。


 先程から、由依が不安げな顔で、チラチラこちらを見ている。


「どうかしたのか?」

「えっとね……クリスマスは双葉ちゃんと過ごすの?」

「さっきのやりとりか。家族で過ごすつもりってのはホントだ」

「そっかあ……」


 ちょっとからかってやろうかとも思ったが、このしょげた顔はいつまでも見てられない。


「一緒の敷地に住んでるんだから、家族としてクリスマスを過ごしたいなって思うんだがな」


 は……恥ずかしいセリフ!

 由依とも過ごしたいと直接言えればいいのだが、オレにはこれが限界だ。


 ぽかんとした顔でオレを見つめた由依は、頬を染めたかと思うと、すぐに眉をひそめた。

 忙しいヤツだ。


「カズがそんなこと言うなんておかしいわ……。早乙女にパーティーのことを聞いたのね? もうっ!」


 スルドすぎない!? 幼馴染怖い!


 口調はこうだが、本当に怒っているわけではなさそうだ。


「由依主催のパーティ、楽しみにしてるよ」

「うんっ! まかせといて! クリスマスのことはばっちり調査済みだから!」


 調査……?

 若干不安のよぎる表現だが、由依なら大丈夫だろう。


「カズは『家族で』と言ったけれど、美海ちゃんも呼んでいいかしら?」

「もちろんだ。一人だけ仲間はずれにするのも、こっちだって気まずいしな」

「やった! ありがと!」


 オレが礼を言われることでもないとは思うが、由依が楽しそうだしそれていいだろう。


◇ ◆ ◇


 そんなこんでやってきたクリスマス当日。

 パーティなんてものは苦手なオレだが、今日はもう楽しみでしかなかった。


 オレ、双葉、美海の三人は、白鳥家の敷地にある応接館にいた。

 来客と商談などをするための一つらしい。

 広めの西洋風茶室といったところだろうか。


「由依さんどうしたんだろう」


 双葉が首を傾げるのもわかる。

 いつもの由依なら、集合時間より先に来て、オレ達を出迎えそうなものだ。


「この暖炉、飾りかなあ? エアコンきいてますもんね」


 美海が興味深そうに覗き込んでいるのは、煙突に繋がった昔ながらの暖炉だ。

 火はおろか、薪も灰もないのでオブジェだろう。


「火のついてない暖炉って、ただの通気口だよね。温かい空気が逃げちゃいそう」


 風のながれからすると、煙突はしっかり外までつながっている。

 ということは、この暖炉は飾りではなく、使えるということだ。

 そういえばこの建物、少し前から工事してたよな。

 もしかしてこの暖炉――


 オレの思考を中断したのは、暖炉の中に突如降ってきた赤い影だった。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[一言] 海外ニュースでは数年に一回くらい煙突に詰まって死んでた人の話し聞きますね。
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