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16章:ヴァリアント・ザ・オリジネーション(30)

「ぐ……うぅ……」


 オレは木の椅子にこしかけ、目を覚ました老人を見下ろしていた。

 彼が気絶していたのはほんの数分だ。


「気分はどうだ?」

「私になにをした……」


 老人は上体を起こしながら、胸のあたりをさすった。


「感じるか?」

「まさか……貴様……私に『核』を埋め込んだのか……?」

「さすが、『核』のことをよくわかってるじゃないか」


 もちろん皮肉である。


「なんてバカなことを……」


 老人は顔を歪ませ、オレを睨みつけてきた。


「バカなことだと? お前がシスティーナにしたことだろう」

「私と駒では価値が違うだろう! それもわからんとは、いかに強いとはいえ、貴様も所詮は駒でしかないということか」

「ずいぶん偉そうだが、自分の立場がわかってんのかね」

「これもまた神が私に与えた試練なれば、乗り越える方法もあるはずだ!」

「神はそれほど万能でもないさ」


 少なくとも、オレが知っている神はな。


「神への侮辱は許さんぞ!」


 老人は今までで最も強く激昂してみせた。

 やっていることはアレだが、神への敬意は本物らしい。


「じゃあ、試してみるんだな。あんたの心臓に埋め込んだ『核』は、まだオレの結界に護られている」

「まさか私を傀儡にする気か!」

「普段から悪巧みをしているだけあって察しがいいな」

「その結界はオレが死ねば解除される。オレの周囲に危害を加えればオレが解除する。もちろんシスティーナにもだ。さらに、オレからたまにする『お願い』をきかなくても解除される」


 一生、体内に『核』があるという恐怖に怯えて暮らすがいい。


「ぐ……貴様ぁ……」


 怒りはあれど反省はなしか。

 そんなものは期待してなかったけどな。

 この手の後悔はあとからやってくるものだ。


「さっそくだが『お願い』をしようか」


 オレからの要求は2つ。


 1つは『契約』をすること。心臓の『核』はあるが、念のためオレ達に危害を加えないことを契約させた。

 破れば激しい頭痛とともに、心臓にある結界が破れる。


 もう1つはシスティーナを自由にすることだ。


「わかった……約束しよう……」


 老人は奥歯を噛みしめながら、首を縦にふった。


 殺してしまわなかったのは、彼の影響力を考えてのことだ。

 今、彼を殺すのは、オレがカバーできる範囲を超えた影響が世界に出るであろうからだ。


 まあ、死ぬより苦しい思いをするかもしれないが、それこそ自業自得だろう。




ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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