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16章:ヴァリアント・ザ・オリジネーション(21)

 ――カルロがなんで!?


 疑問に思うよりも先に体が動いていた。


 オレは黒刃の剣を取り出し、カルロの首を狙った。


 しかし、必殺だったはずの一撃は、空を切った。


 既にそこに首がなかったからだ。


[神……よ……]


 数メートル先に転がったカルロの頭部は、にやりと笑い、そのまま息絶えた。


 一方、胸に大きな穴を空けたシスティーナは、手に真っ赤な剣を持ち、立ち上がった。

 先程は水に血を混ぜていたのだが、今回は血だけで作った剣だ。

 胸から溢れた血で作ったのだろう。

 そして、胸から溢れたはずの血はすでにピタリと止まっている。


「また……私の心臓が……なくなっちゃった……。あの時と一緒……。あぁ……カルロ……」


 半空洞になった胸を見たシスティーナの目から光が消えていく。


 だが、誰も駆寄ろうとはしない。


 なんだこの魔力……っ!


 『核』から溢れる魔力が、血液を通じてシスティーナの全身へと無尽蔵に送られる。

 『核』そのものが持つ魔力量などとうに超えている。

 もしこれだけの魔力が爆発すれば、この国どころか、ローマごとふっとびかねないほどだ。


 司教達はシスティーナを狙っていた共鳴術を解除し、オレの結界を囲うように、さらに結界を展開し始めた。


 術式の様子からして、この礼拝堂に彼らがそろって初めて発動できるものだろう。

 展開途中でもその強固さが十分伝わってくる。


 この準備の良さ……最初から全て計画されていたことかよ。


 オレ達を閉じ込めるつもりなのかもしれないが、ある意味都合がいい。


『信じがたいことだが、記憶が戻ったのか。いや、核の影響を考えれは……』


 スピーカーから、ぶつぶつと独り言が聞こえてくる。


「まさかお前ら、システィーナの記憶をいじったのか!」


 先程の共鳴術を使えば可能かもしれない。

 もっとも、都合の良い改ざんなどできるはずはなく、まとめて記憶はぶっとんだはずだ。

 一部の記憶が戻ったのは、記憶を消した時と同じ術を使った影響だろう。


『核に適性を持つ希有な体質でありながら、神の意志を拒んだのだ。当然の報いだよ』

「人の記憶をいじるなんて……ヴァリアントとやってることは同じじゃねえか!」


 記憶の改ざんはオレでも躊躇することだ。

 それも、こんな乱暴なやり方は、人一人を殺すに等しい……いや、それ以上の所行だ。


『神について語って聞かせてやりたいところだが、それどころではないようだぞ』



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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