表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/426

4章:パパ活ですか? いいえ、援交です。(6)

「あれがそうね」


 オレと由依は、繁華街の路地にいた。

 高いビルに囲まれ、ギリギリ両手を広げられない狭さの路地。

 オレ達はその曲がり角から、『食事』中のダークヴァルキリーを見ている。


 喰われているのはギャルっぽい格好の少女だ。

 オレ達が到着した頃には、とっくに事切れていた。

 顔はここからではプロパンボンベの陰になって見えない。

 もっとも、胴体と同様に食い散らかされているとしたら、家族でも判別できないだろうが。

 大通りからそれほど離れているわけではないのに、ヴァリアントが持つ人払いの効果で、周囲に人の気配はない。


「(こんなに毎日現れるものなのか?)」


 オレは由依に小声で問う。

 由依は体にフィットする黒いジャケットに、黒いミニスカート。その下にはもちろん黒タイツを着用している。

 明るいところで見ると逆に目立ちそうだが、パンク系と言えなくもないし、闇にまぎれるにはちょうど良い。

 あと、個人的にオレの好みである。

 そこはどうでもいいけど。


 一方のオレは、黒いTシャツにGパンだ。

 行動のしやすさ重視……と言いたいところだが、私服は似たようなものしか持っていない。

 高校生は平日制服で過ごすからね。仕方ないね。

 社会人になってもあまり変わらなかったがな……。


「(組織でも連中がどれくらいいるかは掴み切れていないの。でも、討伐報告は多くても月に数体よ)」

「(組織は連中をどうやってみつけるんだ?)」

「(主に、地元警察の行方不明や死亡情報から絞り込んでいく感じね。その情報をもとに分析した結果が私みたいな現場におりてきて、あとは足で探すの)」

「(そりゃ見つからんよなあ……)」


 喰われた人間の記憶はどんどん失われていくのだから、通常の捜査手法が通用しない。

 記録に少しでも残せるのは、全体のごく一部の情報だろう。

 おそらく殆どが、記録に残らず、捜査もされずに忘れ去られていくのだ。


「(とりあえず一人で戦ってみてくれ)」

「(新グングニルの試し切りってわけね)」


 由依の黒タイツの改造は、昼休みのうちに済ませてある。

 出力は変わらず、使用者への負担を激減させてある。

 ある程度の長期戦にも耐えられるだろうし、由依の魔力が続くなら大技も何度か撃てるだろう。


「(油断はするなよ)」

「(わかってる)」


 仲間がいるというのは一人で戦うのに比べ、圧倒的に戦力増強となる。

 しかし、自分より圧倒的に強い味方がいると、自覚なく油断が生じるのも避けようのない事実だ。


「(今日の課題は、無傷で倒すこと。そして、1体倒した後に一人でここから離脱できるだけの余力を残すことだ)」

「(おっけー。わかったわ)」

「(それじゃあレッスン1。地形を上手く使え)」

「(了解、師匠)」


 由依はびしっと敬礼をすると、グングニルを起動し、曲がり角から飛び出した。

 ミニスカートの下に装備していた拳銃を抜いて。


 はぁ!? 銃!?


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


ブックマーク、高評価での応援をなにとぞ! なにとぞよろしくお願いいたします!

(この下にある★5をぽちっと)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 記憶から消えていくのは大体どのくらいの猶予があるのだろうか。 1週間? 1日? 1時間? 喰われた本人との関係が深ければ猶予は長いのかな? 「平均的にこのくらい」という数値は設定してい…
[一言] 鬼まつりちゃんが…。
[気になる点] 記憶や記録から消えるのに、どうやって探すんですか? 直接、ヴァリアントの察知する方法以外は意味がない気がします。 誰かが不意にいなくなっても、不思議に思わないのが ヴァリアントの特…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ