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16章:ヴァリアント・ザ・オリジネーション(13)

「難波の奴、イタリア語なんて話せるのかよ」「あいつってもしかして天才なのか?」「最近まで隠してたってこと?」「また美人が難波のもとに……」



「くぬぬ……唯一のアイデンティティが……。オレがイタリア語を話せると言った時、内心ばかにしてやがヒエッ――」


 なお、オレに難癖をつけようとしてきたイタリア語の彼を怯えさせるほど、由依がすごいプレッシャーを放っていた。

 その怒りのぶつけ先がないことを理解している由依は、嫉妬系ヒロインのようにオレやシスティーナに当たったりはしない。


[カズの恋人?]


 しかし、システィーナは特に動じず、オレにそんなことを聞いてくる。


[いいや。だが大事な人だ]

[ふーん]


 システィーナはつまらなそうにちらりと由依を見ると、頭をこつんとオレの肩に預けてきた。


[歩きにくいんだが]

[そんなに速く歩くわけじゃないからいいでしょ?]

[そういう問題じゃないと思うんだが]


 周囲の視線が痛いんだよ。

 だが、彼女の心臓の話を聞いてしまった今、無理やり引き剥がすのも気が引ける。


「もっとイタリア語を勉強してくるんだったわ……」

「そうだね……」


 由依と美海がそろってこちらを睨んでいる。


「おい難波、彼女に美人の友達を紹介するよう頼んでくれよ。できれば日本語が通じる巨乳がいい」


 このピリピリした空気の中、そんなことを言う佐藤をどうかと思いつつも、正直助かった。


「ハードルの高い条件を3つもつけるんじゃない。カルロにしとけ」

「男に興味はないんだが!?」


 そんなやりとりをしつつ、ローマ観光は続く。


 ローマは見るところが多すぎた。

 1日にしてならずどころか、1日にして巡れずである。

 上手いこと言ったつもりが、周囲からは不評だったので、心の中でもう一度つぶやいてみた。


 コロッセオを出ると、ちょっとしたスペースに人だかりができているのが目に入った。

 豪華な法衣をみにつけた老人が子供達の相手をしている。

 あの法衣……神器か?

 さすが、バチカンが近いだけあって、『関係者』がそこらにいるな。


 周囲からの敬われっぷりを見るに、かなり偉い人なのだろう。

 SPもひきつれてるしな。

 なにより、その体から発する魔力がなかなかのものだ。


 そんなこんで色々ありはしたのだが、修学旅行はおおむね楽しいことばかりだった。

 双葉にはいい土産話がたくさんできそうだ。


 海外旅行といえば、人気作の劇場版だが、このままいけば平和に帰ることができるだろうか。

 そんなことを考えてしまうこと自体が、フラグではないことを祈ろう。


 ちなみに1日目に続き、2日目のローマ、そして3日目のヴェネチアにもシスティーナはついてきた。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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